ポケモンと動物愛護

弁護士の岡原です。

もうすぐ,ニンテンドースイッチのゲーム「ポケットモンスターソード・シールド」が発売されます。
私は,幼稚園のころにクリスマスプレゼントで「ポケットモンスター緑」が欲しいとサンタさんにお願いをしていた世代なので,買おうかどうか非常に気になっています。

ところで,ポケモンといえば,トレーナー同士で自分のポケモンをバトルさせることができますが,その過程で手持ちのポケモンが毒に侵されたり,瀕死になってしまうこともあります。
なんと,これらのことをポケモンに対する虐待として,抗議活動を行っている動物愛護団体もあるそうです。

個人的には,ポケモンバトルはお互いのポケモンを傷つけるためのものではなく,強い信頼関係で結ばれたトレーナーとポケモンがバトルを通じて経験を積み,成長するためのものと考えているので,人間がポケモンをバトルで一方的に傷つけているという指摘は,ポケモンを表面的にしか見ていない,非常に的外れなものと感じています。

ところで,残念ながら,私たちが住むこの世界には,まだポケモンは確認されていないようです。
そして,ポケモンの場合と同じように,例えば野生の猫を捕まえて他人の猫とバトルさせるといった行為は,日本では動物愛護法で禁止されています。

動物愛護法は,同法で指定する「愛護動物」につき,
・みだりに殺傷すること,
・給餌・給水をしないこと,
・みだりにえさや水を与えずに衰弱させるなど虐待を行うこと,
・遺棄すること,といった行為を禁止し,これに違反した場合には罰則を定めています。
そして,愛護動物とは,
・牛,馬,豚,めん羊,山羊,犬,猫,いえうさぎ,鶏,いえばと,あひる(飼育されているか,野生かは問わない)と,
・人が占有している動物で哺乳類,鳥類又は爬虫類に属するもの,
を指します。

したがって,上記のように,例えば猫同士を戦わせる行為は,その猫が野生か飼い猫かを問わず禁止されますが,浦島太郎の冒頭の話のように亀をいじめる子供たちの行為は,亀が上記愛護動物にあたらないため禁止されていないということになります。

もっとも,禁止されていないことと,倫理的にやってよいことは全くの別です。
ポケモンとは異なり,動物と人とでは十分な意思疎通ができず,信頼関係を築くことにも限界があります。
食用などのやむを得ない場合を除き,不必要に動物を苦しめる行為は,それが愛護動物であるかないかにかかわらず,人間として許されない行為であると考えます。