2020年2月4日申請分から,パスポートが新しく変わったことをご存じでしたでしょうか。
ICチップ内の個人情報の不正読取り等を防ぐ機能を強化しているほか,偽造防止能力を高めるため,出入国のスタンプを押す査証のページが,今までページを表す数字のデザインから、「冨嶽三十六景」のデザインに変わったそうです。
また,所持人記入欄から,住所を記載する欄がなくなったそうです。
普通に生活する際に,これらの変更が何か影響することはまずありませんが,弁護士業務を行う際には,ほんの少しだけ影響がありそうです。
弁護士の活動については,法令や日本弁護士連合会が定める規則によって,様々な規制がされています。
契約時の「依頼者の本人確認」も,その一つです。
日本弁護士連合会は,弁護士が犯罪収益の移転行為(マネーロンダリング)に関与しないことを確保するため,「依頼者の本人特定事項の確認及び記録保存等に関する規程及び規則」を定めています。
それによって, 弁護士が一定の法律事務の依頼などをお受けする際に,本人特定事項の確認をさせていただくことがあります。
上記規則では,弁護士と委任契約を結ぶすべてのケースでこの本人確認が必要と定めているわけではありませんが,当法人では念のため,すべての契約においてこの本人確認を行っています。
本人確認のために必要な書類が何かについては,非常に複雑なためここではご説明を省略しますが,通常は本人写真付きかつ住所の記載がある身分証明書で本人確認を行うことが多く,依頼者様にご説明する際も,「運転免許証やパスポート等をお持ちください。」とお伝えしていました。
ところが,上記の新パスポートの場合,住所を記載する欄がないため,「本人写真付きで,住所の記載がある身分証明書」にはあたらなくなってしまったのです。
「本人写真付きで,住所の記載がある身分証明書」であれば,対面の場合,これ一つで本人確認ができますが,そうでないと複数の本人確認書類をいただいたりしなければならないため,上記のニュースを見たときは思わず,「パスポートで本人確認する際は,所持人記載欄に住所記載欄があるものかどうか確認しなければいけないから,手間が増えたなあ。」と思ってしまいました。