こんにちは。愛知県弁護士会所属の弁護士中里智広です。
今回は,交通事故の過失割合について少しお話させていただきます。
1 基本過失割合について
交通事故の過失割合についは,事故態様ごとに基本過失割合がおおむね決まっております。
例えば,被害者側の過失が0%のケースは,
①追突
②ラインオーバー(対向車線にはみだし)
③赤信号無視
という事故態様であれば,ほとんどの場合,相手方も過失を争ってきたりはしません。
しかし,停止中に追突された場合であっても,【駐車場内の事故の場合】には,考慮要素が若干異なってきます。
駐車場には,特殊性があるからです。
すなわち,四輪車が後退,方向転換等の行為に出ることが多く,駐車している四輪車から歩行者が出てくることも多いため,走行している四輪車に対し,前方注視義務や徐行義務がより高度に要求されるという運転慣行があるからです。
上記特殊性から,駐車場内の事故の場合には,過失が0%でまとまることは難しいケースが増えてきます。
その他,よくある事故態様として,
優先道路走行中に,横から車に衝突された場合の基本過失割合は,「優先車10%:劣後車90%」となります。
この場合,優先車が自動車と単車(原動機付自転車も含みます。)であれば,基本過失割合は異なりません。
単車と自動車で基本過失割合が異なるものとしては,例えば,信号のある交差点で直進車と右折車がともに青信号で交差点に進入したケースがあります。
単車直進・四輪車右折の場合,単車15%:右折車85%が基本過失割合となります。
直進車及び右折車がともに自動車である場合の基本過失割合は,直進車20%:右折車80%となります。
我々,実務家は,過失割合を決めるにあたっては,「別冊判例タイムズ38号」という本を参考にします。
たいていの場合,その本で基本過失割合を調べられるのですが,その本にも載っていない場合には,他の文献や裁判例を検索するという作業が必要となってきます。
また,物損解決時の過失割合が,示談段階では人身損害解決時にも影響してきますので,安易に物損解決時にご自分に不利な過失割合で合意されないことをおすすめします。
2 修正要素について
後日,ご説明させていただきます。