岡崎高校51回(1999年)卒業生の弁護士中里智広です。
先日,昨年に続き,今年も私の母校である愛知県立岡崎高校において,
1年生の授業を担当させていただきました。
この企画は,今年で20回目となる伝統行事です。
1年生は10クラスあるのですが,愛知県弁護士会所属かつ岡崎高校卒業生である弁護士が各クラスに1人ついて,約2時間弱の授業をしてきました。
私は,1年6組の担当をさせていただきました。
前半の授業では,NHKの昔話法廷の「赤ずきん」を題材に,
赤ずきんがオオカミを殺した罪で殺人罪で有罪か,
赤ずきんが心神喪失で無罪か
という議論をしました。
心神喪失か否かというのは,実務家にとってもかなり難しいテーマになりますが,生徒の皆さんは,着目すべき点にしっかりと着目できており,着目した点から,各自の結論を導いておりましたので,素晴らしいと思いました。
後半の授業は,犯罪の成立についての簡単な講義と,私への質問タイムでした。
犯罪の成立については,
構成要件に該当し,違法,有責な行為でなければ犯罪は成立しないことを,簡単な例を踏まえて,刑法の条文を紹介しながら解説していきました。
また,犯罪は,原則として,故意(罪を犯す意思)がないと罰せられないことも説明しました。
私への質問タイムでは,
よく質問されるお決まりの質問である,
「六法全書は全部覚えているのか?」
「弁護士の年収は?」
などその他の質問に回答させていただきました。
弁護士の人が六法全書をすべて覚えているのかという質問に対しては,
「そんな弁護士はいないと思います」
と回答。
弁護士は,六法全書を覚える必要はありません。
法律の条文をみて,法律を解釈し,適用したらどうなるのかがわかればそれで事足ります。
司法試験受験生時代であれば,条文数がすくなくかつ重要である憲法の条文くらいは暗記しておりましたが,今では,暗記していないと困る条文などはとくにありませんので,覚えている条文は特にありません。
弁護士の年収についての話は,正直に仕事がある弁護士・結果を出している弁護士と,そうでない弁護士とでは格差があることをお伝えしておきました。
これは,どこの業界でも同じことではないでしょうか。
あとは,岡崎高校での勉強は,これからの人生で必ず役に立つことを力説しておきました。
勉強は,量ではなく質が大事である。
限られた時間の中でいかに効率よく予習,復習,テスト勉強,受験勉強をしていくか。
限られた時間を有効活用できる人間こそが結果を出せるのではないでしょうかと。
生徒の皆さんが,私の話が少しでも役立ったと思えてくれればうれしい限りです。