利益相反

こんにちは。

愛知県の弁護士の中里(なかざと)です。

 

みなさんは,弁護士が法律(弁護士法)上,法律相談に乗れない場合があることをご存じでしょうか。

例えば,相談した弁護士の家族(配偶者,直系血族,兄弟姉妹,同居の親族)を相手方とする場合などを考えてみてください。

普通の感覚を持った弁護士であれば,弁護士も一応一人の人間ですので,自分の家族の肩を持つようなアドバイスだけを行ってしまうかもしれません。

また,すでに相手方が相談した弁護士に先に相談している場合を考えてみてください。

これでは,弁護士は,両方の当事者の味方にも敵にもなってしまいますので,相談を受けた弁護士のさじ加減で事件が解決してしまうことになります。

両方の当事者を同じ弁護士が担当するのであれば,弁護士は全く苦労せずに事件を解決できてしまうことになります。

このように,

①当事者の利益保護が図れない場合,

②弁護士の職務執行の公正が確保できない場合,

③弁護士の品位と信用の確保が保てなくなるような場合,

には,弁護士はその職務を行ってはならないのです(弁護士法25条,弁護士職務基本規程27条,28条)。

弁護士法25条違反にならないかのチェックを「利益相反チェック」といいます。

私が所属する事務所のように弁護士が多数所属している弁護士事務所ないし弁護士法人では,実際に相談を担当しようとする弁護士だけのチェックでは足りず,同じ事務所内のすべての弁護士が関与した関係者でないかどうかをチェックしてからでないと,相談者様のご相談には乗ることができない運用となっております。

利益相反にストレートにあたる場合もたまにありますが,ほとんどの場合は,利益相反にはストレートにはならないのだけれども,弁護士法25条の趣旨(①当事者の利益保護,②弁護士の職務執行の公正の確保,③弁護士の品位と信用の確保)からして相談に乗ることが好ましくない場合です。

このような場合にも法律相談をお断りさせていただくケースがあります。

 

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