こんにちは。愛知県名古屋市の弁護士中里です。
今回は,裁判管轄(さいばんかんかつ)についてお話させていただきます。
裁判管轄とは,各裁判所間の裁判する権限の分担のことをいいます。
1 通常訴訟の事物管轄について
事物管轄は,訴訟物の価格によって決まります。
訴訟物とは,裁判の審判対象のことをいいます。
交通事故の場合ですと,例えば,不法行為に基づく損害賠償請求権が訴訟物となるのですが,
例えば,1000万円請求するのであれば,訴訟物の価格は,「1000万円」です。
訴訟物の価格が,140万円以下であれば,簡易裁判所が管轄となります。
140万円を超える(140万0001円以上)場合には,地方裁判所が第1審裁判所となります。
訴訟物の価格で事物管轄を区切るのは,裁判所が効率よく事件を裁くためにあるといっていいでしょう。
ある程度高額の事件であれば,地方裁判所の裁判官がしっかりと審理して裁判しなければならないでしょう。
少額の事件でもすべて地方裁判所で審理しなければならないとしますと,地方裁判所の人的・物的資源も有限ですので,地方裁判所がパンクしてしまいます。
そういった観点から,事物管轄というものが区切られているのです。
当然,その他の考慮要素もありますが,ここでは割愛させていただきます。
次回は,「2 土地管轄」についてお話させていただきます。