こんにちは。愛知県弁護士会所属の弁護士中里です。
この前,自転車に乗っているときに,パトロール中の警察官とすれ違いました。
私が,「あっ,警察だ」くらいに思って,そのまま進んでいたのですが,警察官とすれ違ってから数十メートル先で信号待ちをしている際に,先ほどの警察官の方が駆け寄ってきて,
「すいません。自転車の鍵が見当たらない自転車に乗られてますよね。ちょっと調べさせてもらっていいですか。」
と言われてしまいました。
要するに,私は,職務質問にあってしまったわけです。
職務質問の法的根拠は,
警察官職務執行法2条1項です。
「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。」
とあるように,私は「何らかの罪を犯」そうとしている人間,もしくは,「既に行われた犯罪」があると思われて,その警察官から職務質問を受けてしまったのです。
既に行われた犯罪とは,自転車窃盗ないし,占有離脱物横領罪のことです。自転車の占有があるかないかで,窃盗か占有離脱物横領になるかで変わってきます。
刑が軽いのは,当然,占有離脱物横領罪(刑法254条,1年以下の懲役又は10万円以下の罰金,若しくは科料)です。
ちなみに,窃盗(刑法235条)は,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
職務質問を受けるのは,久しぶりでした。
よく職務質問を受けていた時期は,大学生のころです。
なぜ,よく職務質問を受けていたのかといいますと,自分の自転車の鍵をなくしてしまったので,鍵を壊して乗っていたからです・・・
職務質問されたところで,防犯登録が当然自分名義であるため,何らの犯罪にもなりません。
ですから,警察も「ごめんね~もういいよ」みたいな感じで立ち去るわけです。
しかし,警察官の異常探知能力はずば抜けていると思います。
夜間で暗い中でも,パトカーに乗ったまま数十メートル先にいる私の自転車の異常に気付いて,パトカーのスピーカー越しに
「そこの自転車止まりなさい!」
と言ってくるわけですからね。
すごく夜間でも目がいい人たちなんだなと当時から驚いていました。
よく「職務質問にあった際はどうすればいいのか?」
と聞かれますが,
一番いいのは,「素直に応じる」のが一番だと思います。
下手に抵抗するとどんどん怪しまれて,応援の警察官を何人も呼ばれてどんどん事態が大きくなってしまい,周囲から大注目を浴びてしまいますからね。
「素直に応じる」ことこそが,一番早く解放されます。
職務質問は,当然,任意なので断ることもできますが,警察はいろいろ理由をつけてなかなか解放してくれませんので,やはり,素直に応じるのが一番です。
警察官の職務質問も,①必要性,②緊急性,③相当性がないと認められませんので,職務質問であれば何をやられても受け入れなければならないのかといえばそうではありません。
でも,職務質問があるおかげで,未然の犯罪が防げている部分もありますので,私はなるべく警察には協力してあげるべきかなとは思っています。