先日,名古屋の裁判所の期日に出廷した際に,司法修習生の傍聴がありました。
裁判官からそれを伝えられたとき,私は独特の気恥ずかしさを覚えました。
というのも,司法修習生は,実際の裁判を傍聴することで裁判実務を勉強することになるのですが,これはそれぞれの事件をいわば「教材」とすることになります。
ですので,事件の記録や経緯に加えて,訴訟代理人の訴訟活動についても,修習生どうしや裁判官との間で検討の対象とされることになるのです。
私も,司法修習生時代には,担当の裁判官と事件の論点や訴訟の見通しについて議論するとともに,「訴訟代理人の訴訟活動について,どう思ったか」ということも話し合っていました。
特に,私の配属先は地方の小規模庁だったのもあり,担当裁判官は丁寧に対応してくださったので,「自分が訴訟代理人だったら,どうしたか」や「訴訟代理人の一つ一つの行為について,どのような意味があったか」についても,細かなところまで話し合うことができました。
そこで,「弁護士の活動が裁判官からどう見られているか」という視点を学べたことは,今でも大きな糧になっています。
ただ,先日の期日でも,期日は代理人にとっては真剣勝負の場ですので,私もやりとりに集中し,司法修習生の目が気になるということはなかったのですが,あの後,事件について裁判官と司法修習生との間でどのような検討がなされたのかは気になるところです。
司法修習生にとって,少しでもよい「手本」となるべく,日ごろから研鑽を深めていきたいと思ったできごとでした。