こんにちは。
暑い日が続きますが,みなさまは体調を崩されたりはされていらっしゃらないでしょうか。
弁護士の江口潤です。
今回は,前回に引き続き,愛知県弁護士会が主催しているサマースクールについて書きたいと思います。
愛知県弁護士会では,法教育の一環として,毎年,小学生や中高生を対象にサマースクールを実施しています。
サマースクールでは,憲法の精神を学ぶことができる小学生向けの劇や弁護士とディベートができる企画などがあります。
この企画には,毎年,多くの方に参加いただいており,平成30年の延べ参加者数は,平成29年よりも85名も増えるなど。参加者数も年々増加しているそうです。
私は,平成30年8月3日(金)に中高生向けの模擬裁判に参加し,弁護人役を務めましたが,これにも90名近い学生に参加いただきました。
今年の中高生向け模擬裁判は,とあるアニメ映画を題材にした刑事事件で,被害者が亡くなってしまった強盗致死事件の犯人性が問題になりました。
犯人役,目撃者役,アリバイ証人の恋人役も,すべて愛知県弁護士会に所属する弁護士が務めましたし,出演者とシナリオ作成者は,忙しい職務の合間に稽古も積んできました。
私自身には,演劇の経験はほとんどありませんが,学生さんに途中で飽きられないように,必死に演技をさせていただきました。
私の役は,普段から弁護士が行っている弁護人でしたので,ある程度,現実を反映した(?)演技ではなかったかと思います。
とはいえ,証人尋問や異議などでは,全般的に芝居がかったところはありましたが…。
演劇後の評議では,学生10名ほどのグループで,演劇に参加した弁護士らがまとめ役となって,事件についてどう考えたかという評議を行いました。
参加した学生の方には,同じ事件を見ているのにそれぞれで結論や考え方が異なるということが分かったことや,そう考えた理由を自分なりに説明したり,他の参加者の考え方を聴く機会を持てたりしたことが,よい経験になったようです。
評議ではさまざまな議論がとびだし,1時間以上とっていた時間は,参加者にとってあっという間だったようです。
今年の事件もそうですが,模擬裁判の題材では,シナリオ作成者は,有罪か無罪かなどについて「正解」というものを想定していません。
実際の社会でもそれぞれの立場にある者が,それぞれの考え方にしたがって行動するのですから,明確な「正解」というのは存在しないのが通常でしょう。
普段の学校の授業では,「正解」があるのが当たり前でしょうから,学生さんの中にはきっともやもやしたものが残ったでしょうが,そういう経験をしてもらうことこそ主催者側の意図していたことだといえます。
私自身,参加者のアンケートをひやひやした気持ちで確認しましたが,とても好評でしたので,正直,ほっとしました。
また参加させていただく機会がありましたら,「もっといい劇にしてやろう」と意気込んではいます。