相続財産国庫帰属法の利用可能性について

私の住んでいる愛知県でも、暑さがだんだんと増してきました。

日中、外に出る際には、暑さや日差しへの対策をしていきたいと思います。

 

今回は、新たに成立した相続財産国庫帰属法(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律。法務省のリンクはこちら)について取り上げたいと思います。

この法律も所有者不明土地の解消のために設けられた関連法の一部です。

 

相続においては、相続財産の一部のみを相続人の誰も相続しないという選択をすることができませんので、誰もが取得を希望しない不動産が出てしまう場合があります。

そして、そのような不動産を取得した相続人が、引取手を探しても見つからないというケースがしばしばあります。

 

このような場合の選択肢の一つとして、相続人が不動産を国に引き取ってもらうことができる制度ができました。

 

ただし、どのような不動産であっても国が引き取ってくれるわけではありません。

 

たとえば、「建物の存在する土地」は対象外となっていますので、そもそも建物は法律の対象外であるだけでなく、土地上に建物が存在すらしてはいけません。

その他に、土壌汚染がされている土地や、境界が明らかでない等の土地も対象外とされています。

 

これに該当しない土地である場合には、国は対象の土地の事実調査を実施して、管理を阻害する工作物や車両の有無などを調べたうえで、「通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地」として定められたものなどに該当しないと認められれば、国に引き取りを承認してもらうことができます。

 

ただし、実際に国に引き取ってもらうためには、管理に要する十年分の標準的な費用の額を考慮して定められた負担金を納付する必要があります。

この納付金を納めなかった場合には、引き取ってもらうことができません。

 

今後、この制度がどの程度利用されることになるのかは、どのような運用の基準となるのかや、負担金の額がどのように定められるかによります。

私が弁護士としてこれまでに関わってきた依頼者さまの中でも、上記のような不動産を相続された方がいらっしゃいますので、制度を利用することにメリットがあるかどうかを慎重に検討して、ご利用を提案したいと考えています。