東京オリンピックも閉幕しました。
私自身、スポーツをするのも、観るのも好きなのですが、昨今のコロナ事情のもとで、どちらも十分にしづらい状況になっているなあと思います。
オリンピックが東京で開催されるということで、心に残ったシーンもたくさんありましたが、特に名古屋にいると日本で開催されたという実感があまりなかったのが実際のところです。
その間、コロナについては、デルタ株の隆盛もあって、感染が急速に広まってしまっていますし、とても憂慮すべき状況にあると思います。
私は、2回目のワクチン接種を済ませましたが、変異株への有効性は疑問視されていますし、引き続き、気を引き締めて感染対策に臨みたいと思います。
今回は、登記官が職権で不動産の登記情報を更新することについて、法改正の内容に触れたいと思います。
登記名義人が死亡しているにも関わらず、不動産の登記情報にそのまま残っていることや、住所や氏名が変更されているにも関わらず変更がされていないことが問題視されてきたことは、何度か取り上げてきたとおりです。
ここで、登記所・登記官が、登記名義人の死亡や住所や氏名の変更の事実を把握したときには、その内容を登記に反映されるという仕組みができた場合には、このような状態の解消につながりそうです。
改正不動産登記法では、登記官は、登記名義人が権利能力を有しないこととなったと認めるべき場合には、職権で、その旨を示す符号を表示することができることになりました。
「権利能力を有しないこととなったと認めるべき場合」というのは、少し難しい言い方がされていますが、死亡のほかに、災害などによって亡くなったと扱われる認定死亡や、普通は存命ではないだろうという年齢になっている高齢者消除などが想定されています。
住所についても、登記官は、名義人の住所などに変更があったと認める場合には、職権で、変更の登記をすることができるようになりました。
ただし、登記名義人が自然人であるときには、申出があった場合に限られています。
DVやストーカーの被害者など、最新の住所を公示することに問題のある場合があるため、このような扱いとなっています。
ネックとなるのは、登記官がこのような情報をどうやって取得、収集するのかということです。
死亡等の情報については、登記所が住基ネット等にアクセスすることで得られそうです。
しかし、現在の登記情報には名義人の氏名と住所しか記載されておらず、その情報のみで個人を特定するということは困難だと考えられます。
そこで、登記の名義人の情報と、住基ネットの情報を連携させるため、新たに所有権の登記名義人となる場合、登記の申請の際に、生年月日等の検索用情報を提供しなければならないこととなりました。
ただし、このような検索用情報は登記情報として公示されるわけではなく、あくまで登記所内部のデータとして取り扱われることになっています。
これらの情報の紐づけのために、登記所が保有する情報と、住基ネットワークの情報との定期的な照会と照合がされることが想定されています。
今後、検索情報として、生年月日のほかに、たとえば、マイナンバー等のどのような情報の提供が要求されるのかも確認していく必要があるでしょう。
弁護士の立場からすると、利便性が向上する一方で、登記申請にあたっての負担やリスクが増大しないように注意していただきたいと考えています。