今年も師走に入りました。
ここからは私の弁護士業務も、毎年、非常に忙しい時期になります。
「年内に案件を解決しておきたい」という機運があるため、これにしっかり対応できるように私も今まで以上に集中して取り組んでいきたいと思います。
今回は令和5年4月1日に施行される予定の民法改正後の相続財産清算人について取り上げたいと思います。
相続人が存在しない場合には、相続財産は法人(「相続財産法人」と呼ばれます)とされます。
具体的には、戸籍を調べても相続人が存在しない場合とか、遺言書で相続人以外に財産が遺贈されている者も存在しない場合、相続人がいたとしても全員が相続欠格や廃除、相続放棄で相続権がなくなった場合に、相続人が存在しない(法律上の条文だと「相続人のあることが明らかでない」という文言になっています)と扱われます。
相続財産法人は清算の手続きをすることが必要なのですが、相続財産清算人という清算手続きを進めることができる権限のある者が選任されるまで、清算手続きは進められません。
相続財産清算人は利害関係のある者が家庭裁判所に選任を申し立てることができ、これがない限り、選任や手続きがされないのです。
相続財産清算人は、選任があった旨と相続人があるならば最低6か月間の期間内に権利主張をすべき旨の公告をすることになります。
この期間内に相続人が見つかった場合には、その相続人が相続の承認をすると精算手続きは終了することになります。
併せて、相続債権者や受遺者に対して請求の申出をすべき旨の公告を2か月以上の期間を定めてすることになります。
相続債権者や受遺者がこの期間内に権利主張をしなければ、権利を行使することができなくなります。
相続人や債権者が現れない場合には、相続財産が国庫に帰属することになる前に、特別縁故者がいないかが問題になります。
特別縁故者がいる場合には、特別縁故者が相続財産の全部または一部を取得することが認められます。
上記の相続財産清算人の職務は、これまでの相続財産管理人が行ってきたものですが、改正法では保存型の相続財産管理人の規定ができたため、これと区別するために相続財産清算人の呼称が用いられるようになったとされています。
相続に関わる分野では、法律の改正も多く、変更内容に注意していかなければなりません。