今年も、残り2か月余りとなりました。
名古屋でも涼しい時期が来たように感じますし、朝晩は肌寒くなってきました。
夏がいつまでも続くような感覚でしたが、もう10月なのを考えると、寒くなるのもすぐなのかもしれません。
今回は、「遺産分割調停における調停に代わる審判」について、取り上げたいと思います。
調停に代わる審判とは、調停手続きにおいて、裁判所が、調停成立の見込みがない場合に職権で審判をする制度です。
遺産分割においても、この調停に代わる審判が利用されることがありますので、どのように利用されることがあるのかを紹介します。
遺産分割協議において、連絡がとれない相続人がいたとします。
遺産分割協議は相続人全員で協議をして合意しなければなりませんので、連絡がとれない相続人がいれば、遺産分割協議がいつまでも成立しません。
そのようなときに、遺産分割を成立させるために、遺産分割調停を申し立てます。
こちらから遺産分割調停を申し立てたとしても、その相続人が調停の手続きに参加するとは限りませんし、遺産分割調停においても、当事者全員が合意することが必要ですので、当事者全員が参加しなければ調停は成立しません。
そのような場合に、調停に代わる審判が利用されることがあります。
たとえば、連絡が取れなかった相続人が、「遺産分割調停には参加しないが、遺産は取得するつもりはない」という連絡をしていたとします。
本人がそのような意思を持っていることが確認できたのであれば、仮に本人が調停手続きに参加しなかったとしても、そのような内容の遺産分割とすることが相当であると考えられるでしょう。
そのようなときには、裁判所が、その相続人が相続財産を取得せず、他の相続人が相続財産を取得する内容での調停に代わる審判を発出するという可能性があります。
この「可能性」という表現にしているのは、調停に代わる審判を発出するかどうか、どのような内容の調停に代わる審判が出されるのかというのは、あくまで裁判所の判断によるからです。
弁護士が代理人となっている調停手続においては、弁護士と裁判所が調整をして、対応を協議することになります。
相続財産の状況、相続人の状況は、事案ごとにさまざまですので、どのように裁判所を説得していくのかについては、弁護士としての力量が問われるところです。