コロナ禍と経路依存性からの脱却

コロナの影響で、愛知県でも緊急事態宣言の発出が続いています。

私の事務所がある名古屋市栄地区でも、人出は以前に比べると減っていますし、特に夜間の繁華街の人出は減っていると感じます。

飲食店などの店舗も、そのほとんどが午後8時には閉店していますし、廃業をされたお店も目立つため、飲食業を営まれている方には厳しいご状況であると察することができます。

テイクアウトへの対応が充実しているお店も増えていますし、今はしっかりと対策をして、厳しい時期を乗り切っていければと思います。

 

このような状況は、当然、社会や組織にとっての危機にあたるのですが、この状況に直面したことをきっかけに、社会や組織のルールを変えていく好機であるともいえます。

どういうことかを説明しますと、社会や組織には経路依存性というのがあります。

経路依存性とは、英語のpath dependenceの訳語であるため即座に意味を理解するのが難しい言葉ですし、厳密には様々な用法があるのですが、ここで問題になっていることを簡単に言うと、「これまでのやり方に縛られる」というものです。

 

たとえば、キーボードの配列もこの例にあたると考えられます。

 

現在、一般的にはQWERTYの配列になっているキーボードが使用されていますが、この配列は入力の効率性を考えて配置されているとはいえません。

このキーボード配列になったのは、タイプライターが開発された時期からであり、当時は早くタイピングしすぎると機械がうまくタイピングできないため、あえてタイピングをしにくくしていたとう説があります。

タイピングの効率性などを重視したキーボードも存在し、そちらを利用した方が早くタイピングができることが分かっていますが、これが広まっているとはいえません。

 

普通に考えると、現在、タイピングを早く打ちすぎると機械が対応できないという事情は無くなったため、当時のキーボード配列を続ける理由はなく、よりタイピングのしやすさを重視したキーボード配列に変えるべきだといえそうです。

しかし、すでに非常に多くの人が現在のキーボード配列に慣れてしまっており、このキーボードも広く流通しているため、これを変更するためにはコストが生じるといえます。

そのため、変化を取り入れる際のコストも計算して、現在の方法を続けることが経済的にも合理的だと考えられる場合もあるわけです。

これに加えて、人が変化を恐れるという心理的な要素もあるでしょう。

 

現在のようなコロナの危機に直面したときには、当然、以前とは周囲の状況が大きく異なるわけですし、人の心理的にも「なんとかしなければ」という気持ちが生じやすいといえます。

そのため、コロナの状況への対応をすべきであるのはもちろん、これまでも変化をさせるべきことが認識されていながら上記の経路依存性の問題から対応ができていなかった事項についても、社会や組織が対応できる好機であると考えられます。

 

弁護士業務においても、このような事項は多くあるように感じますし、個人のレベルでもこのことは言えるかと思います。

私自身、このような観点から、これまでの業務や自らの行動についても考えていきたいと思います。

 

また、当法人の代表社員である西尾有司が、YouTubeでの動画配信を始めました。

よろしければご視聴ください。

みなさまにとって、有益な気づきがございましたら幸いです。

 

リンクはこちらです。

https://www.youtube.com/watch?v=SrsEcalLXQU