外国人の生活保護について

台湾で大きな地震が起き、多くの被害が発生しているようです。

台湾は、地震が少なくはない地域のようで、わが国に地震があった際にも、積極的に支援を申し出てくれます。

被害を受けた方々にお見舞い申し上げるとともに、一刻も早い復興を祈りたいと思います。

 

今回は、「外国人の生活保護」について、取り上げたいと思います。

 

報道によると、今年の1月16日、千葉地裁で「外国人に生活保護法に基づく受給権はない」などとして、結論としては、ガーナ国籍の方に生保保護費の支給を認めなかった判決があったようです。

 

前提となっている状況を整理しましょう。

生活保護法では、「すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護を、無差別平等に受けることができる」とされています。

最高裁は、2014年に「外国人は生活保護法に基づく受給権を有しないというべき」と判断しています。

ただし、国から1954年に発出された通達に基づいて、一定の外国人には生活保護がなされており、2018年の政府答弁でも、「一定の外国人には、その生活が困窮する場合、人道上の観点から、生活保護による保護に準じた保護が行われている」とされています。

このような状況のもと、生活保護の支給を拒否された外国人が司法的救済を求めたところ、上記のとおりの判決がなされました。

 

以上からすると、現状、外国人に対しては、行政の通達によって保護がなされているものの、仮に、自治体が保護を実施しなかったとしても、司法によってそれが救済される方途がないといえそうです。

とすると、仮に、一定の自治体が外国人への保護を一切実施しなくなったときにも、これが是正される手段がないことになり、これは平等の観点から問題があるように思われます。

 

生活保護に対しては、しばしば社会から厳しい目が向けられることがあります。

私が住む名古屋でも多くの外国籍の方が居住されており、今後、それらの方々との社会をどのように形成していくのかをしっかりと考えなければなりません。

少なくとも、現在の制度の在り方には問題があるように思われますので、あるべき制度を議論していかなければならないだろうと思います。