硬貨の口座への預入れについて

私の住んでいる名古屋でも、酷暑といえるような日が続いています。

通勤での自転車移動は、暑さが和らいだ朝晩の時間帯なので大丈夫なのですが、事務所間や、裁判所、金融機関等への移動は日中に移動するため、体力がかなり削られます。

暑さに負けないように頑張っていきたいと思います。

 

今回は、法律の話ではないのですが、「硬貨の口座への預入れ」について、取り上げたいと思います。

 

話はずれますが、財産管理をする意思能力を欠く常況にある方の財産管理をする者を成年後見人といいます。

私も、弁護士として何人かの方の成年後見人となっており、ご本人のために財産管理をしています。

この財産管理は、第三者のご本人のためにしているわけであり、公明正大にする必要があります。

現金の管理については、その管理に疑義が生じないように、なるべく現金としては管理せず、口座で管理することが望ましいといえます。

 

ご本人の中に、非常に多くの硬貨をお持ちの方がいらっしゃいました。

大量のスペースを取られるという理由もありましたが、そのままで保管するのではなく、口座で管理するのが望ましいといえるでしょう。

 

この硬貨を銀行口座に預け入れるということに困難な点があります。

というのも、現在、金融機関では硬貨の預入れにおいて、枚数の制限があるか、手数料がかかるところがほとんどだからです。

 

1円硬貨を預け入れるために、その価値以上の手数料を払ってまで預け入れるというのは、本末転倒となってしまいます。

 

他方、金融機関の立場からしても、硬貨の計上や処理に手間がかかる以上、手数料を取らずに受け入れることは困難だという事情も理解できますし、やむを得ないことではあるでしょう。

 

いろいろと考えているなかで、「大量のお賽銭を受け入れている神社はどうしているのだろか」という疑問も生じました。

調べてみると、神社も硬貨の管理に苦心しており、「お賽銭は100円以上でお願いします」という呼びかけをしている神社もあるという記事も見かけました。

釣銭などで硬貨が必要な地元商店などに両替をしている神社もあるそうです。

 

キャッシュレス化がますます進んでいる時代に、硬貨の位置づけも変わってきていることを感じました。

参拝のご利益がお賽銭の額によって変わるのかは分かりませんが、同じく硬貨の扱いに苦労した者として、神社側のお立場も理解したうえで、お賽銭を決めたいと思いました。

 

なお、最後に法律の話をしておきますと、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律という法律があり、債務の弁済にあたって、貨幣(硬貨)は20枚までは利用できることが規定されています。

「政府は、磨損その他の事由により流通に不適当となった貨幣を、額面価格で、手数料を徴収することなく、財務省令で定めるところにより、第二条第一項に規定する通貨と引き換えるものとする。」とも規定されており、現在は、日本銀行の本支店でこれに対応しているようです。