名古屋の弁護士の松山です。
個人再生をお考えの方の中には、勤務先や勤務先の共済組合から借り入れをして、毎月給料から天引きされることで返済をしている方がいらっしゃることと思います。
このような方が個人再生をする際には注意が必要です。
個人再生においては、債務者が所有する財産よりも多くの額を債権者に返済しなければならないというルール(これを清算価値保障原則といいます。)が存在し,否認対象行為は債務者の財産に計上されることとなっております。
給料からの天引きは、再生債権に対する一部弁済と考えられ、遅くとも弁護士による受任通知送付後は偏頗行為(一部の債権者のみに対してした弁済)として、否認権行使の対象となりますので(破産法162条1項1号イ、同条3項、165条)、個人再生においては、天引きされた給料の額が債務者の財産に計上されると考えられています。
すなわち,受任通知送付後に毎月5万円が天引きされており,それが10カ月続くと合計50万円が清算価値に計上されることとなるのです。
また、再生手続開始決定がなされた後は、原則として再生計画によらない弁済が禁止されています。
したがって、それ以上の天引きが行われないよう、給料天引きの停止を申し出る必要があります。