1 自己破産とは、破産者が所有する財産を現金に換えて、各債権者に配当する手続です。
しかし、破産者が所有する全ての財産を換価してしまうと、破産者の今後の生活に支障を来たし、経済的な再建を図ることが難しくなります。
そのため、一定の財産については、破産しても手元に残すことが認められています。
以下では、破産した場合の財産の取り扱いの原則を示した後、手元に残せる財産の範囲を説明します。
2 原則は破産財団に属する
自己破産の手続開始決定が下されると、原則として、破産者が所有するすべての財産は、破産管財人という弁護士の管理処分権のもとに置かれます。
破産管財人が管理処分権を有する財産を、破産財団に属する財産といいます。
破産財団に属する財産は、基本的に破産手続の中で換価されることになります。
3 自由財産
破産者が所有する財産でも、破産財団に属しない財産を自由財産といい、破産者は手元に残すことができます。
4 本来的自由財産
⑴ まず、破産手続開始決定後に新たに取得した財産は、自由財産です。
⑵ 次に、個別の法律で差押えが禁止されている財産も自由財産となります。
たとえば、破産者の生活に欠くことができない衣服や寝具、家具がこれにあたります。
⑶ 99万円以下の現金も自由財産です。
⑴~⑶は本来的自由財産と呼ばれています。
5 本来的自由財産以外の財産
本来的自由財産にあたらなくとも、裁判所が認めた財産については自由財産となります。
すなわち、破産者の生活の状況、破産者の財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して、裁判所が認めると、自由財産とされる財産の範囲が拡張されます。
たとえば、通勤や日常の生活を送るのに自動車が欠かせない場合で、所有している自動車1台の財産価値が小さければ、その自動車を残せる可能性があります。