日本弁護士連合会が発行する雑誌『自由と正義』の2023年9月号では、生命保険の基礎知識について特集が組まれていました。
生命保険は破産手続でも関わりがあります。
上記雑誌の25頁から嶋寺基「生命保険における債権保全・債権回収・破産の問題」という論文があり、そこでは保険金受取人の破産のトピックが扱われています。
上記論文では、破産手続終了後に保険事故が発生した場合、保険金請求権は自由財産に属するものとされるとした判例(最判平成5・6・25民集47巻6号4557頁)とともに、「破産手続終了までに保険事故が発生しなかった場合、保険金受取人たる破産者が有する保険事故発生前の(抽象的)保険金請求権は、それ自体に換価価値はないといえるため、破産管財人は、破産手続終了直前に(抽象的)保険金請求権を破産財団から放棄することになる」との考えが紹介されています。
この考えによった場合、破産管財人は破産者が契約者となっていない生命保険の存在や内容まで調査すべきなのか、申立代理人は破産管財人に放棄してもらうため、破産者が保険金受取人となっている保険について(抽象的)保険金請求権を財産目録に記載すべきことになるのか気になります。