1 破産前の不動産売却に注意
破産すると、基本的に所有不動産を手放す必要があります。
これを避けるために、破産する前に自分の名義となっている不動産を他人に名義変更することを考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、借金の返済が困難となった「支払不能」以降に自分の財産を他人に名義変更することには注意が必要です。
2 不動産を安く売った場合
まず、返済が困難となってから、市場価格よりも安く不動産を売却すると、後の破産手続の中で不動産の売買契約が否認の対象となる可能性があります。
売買契約が否認されると、売買契約が無かったことになります。
少なくとも、破産手続の中で破産管財人(裁判所から選ばれる弁護士)が買主に不動産の名義を戻すよう接触するので、買主に迷惑をかけることになります。
また、ご自身が免責の判断に悪影響を及ぼす可能性もあります。
3 適正な金額で売った場合
一方で、適正な金額で不動産を売却して名義変更すること自体は認められています。
ただし、売却したことによって得た金銭を隠匿する等の意思があった場合には、その売買が否認の対象となる可能性があります。
そのため、弁護士に破産を依頼する前に不動産を売却した場合でも、売却して得た金銭はそのまま保管して、破産を依頼した際に弁護士に預けるのが無難です。
その金額が多い場合には破産手続の中で債権者に配当されます。