倒産手続におけるリース契約

倒産手続において,倒産した人が契約しているリース契約がどのように扱われるかについては,リース契約の種類によって異なってきます。

1 フルペイアウト方式のファイナンス・リース契約

判例は,フルペイアウト方式のファイナンス・リース契約について次のように述べています。

フルペイアウト方式のファイナンス・リース契約は,リース期間満了時にリース物件に残存価値はないものとみて,リース業者がリース物件の取得費その他の投下資本の全額を回収できるようにリース料が算定されているものであって,その実質はユーザーに対して金融上の便宜を付与するものであるから,右リース契約においては,リース料債務は契約の成立と同時にその全額について発生し,リース料の支払いが毎月一定額によることと約定されていても,それはユーザーに対して期限の利益を与えるものにすぎず,各月のリース物件の使用と各月のリース料の支払とは対価関係に立つものではない(最高裁平成7年4月14日)。

上記判例は,会社更生事件に関するものであり,上記説示を理由として,未払のリース料債権は全額更生債権となるとしました。

また,同判例の趣旨からして残リース料は,リース目的財産を担保目的物とする更生担保権と解されています。

破産手続において,更生手続と別異に解すべき特段の事情がないため,破産手続では,リース会社は別除権を有すると解されています(伊藤眞他『条解破産法(第2版)』522頁)。

2 ノンフルペイアウト方式のファイナンス・リース契約

リース期間終了後に残存価値があるものがノンフルペイアウト方式のファイナンス・リース契約です。

リース物件の見積残存価値を控除し,その控除後の金額をリース期間に配分して全額回収できるように,リース料の総額が設定され,そのようなリース料総額がリース物件の使用の有無にかかわらずリース業者に支払われることが約定されているような場合には,リース契約時に,このような リース料債権が全額発生していると解されるため,リース料債権全額が倒産債権となります(伊藤眞他『担保・執行・倒産の現在』340頁)。

3 メンテナンス・リース契約

リース業者がリース物件の修繕・整備・保守の義務を負う形態のリース契約です。

修繕・整備・保守の義務は,リース契約締結後にリース業者が履行することで初めて代金債権が発生するものであり,当該代金債権と履行義務は対価関係に立つので,双方未履行双務契約としての性質を有します。

破産手続開始後の履行部分は,財団債権となると解されます。

 

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