共有名義人が自己破産した場合

自己破産をする方が他の人と共有する財産を持っている場合,手続きはどのようになるのでしょうか。

たとえば,兄弟の共有名義で住宅を2分の1ずつ持っている場合に,兄が自己破産したら,住宅はどうなるでしょうか。ここでは住宅ローンはない(既に完済している)場合を考えてみます。

まず,破産手続において換価の対象となるのは,あくまで破産者の財産ですから,競売にかけられるのは兄の共有持分の2分の1のみで,住宅の全部が競売にかけられるわけではありません。

しかしながら,競売によって兄の2分の1の共有持分が他人に落札されたときには,共有物分割請求がなされるおそれがあります。

住宅について共有物分割請求がなされた場合,物理的に分割することが困難であるため,住宅の全部について競売にかけられることになります。

それを避けるには,共有者である弟が兄の分の共有持分を買い取ることが必要となりますが,その際には,破産手続開始決定後に,破産管財人から相場価格で買い取るのが無難です。