勾留に代わる観護措置

1 少年法の目的・理念

少年法1条では,「この法律は,少年の健全な育成を期し,非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに,少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。」と定められています。

このように,少年法は,目的として「少年の健全な育成」を明確化し,非行少年に対して,再非行を防止するため,教育的・福祉的処遇を行うことを原則としており,このような少年法の理念は保護主義と呼ばれています。

 

2 勾留に代わる観護措置

少年の被疑事件における制度も,少年法の理念に沿うよう設計されています。

少年に配慮した形で,成人と異なる制度設計がなされている例の一つとして,勾留に代わる観護措置があります。

成人の場合,逮捕されると,その後は勾留へと手続が進みます。

しかし,少年の被疑事件においては,検察官は,勾留の請求に代えて観護措置を請求することができますし(少年法43条1項本文,17条1項),やむを得ない場合でなければ,勾留を請求することができないと定められています(少年法43条3項)。

名古屋でも少年鑑別所があり,観護措置が取られれば,原則として少年鑑別所へと収容されます。

このように法律のたてつけとしては,少年に対する勾留は例外的な措置とされていますが,実際には少年鑑別所の収容能力の関係から収容できない等の理由で「やむを得ない場合」に当たるとして,成人同様の勾留がなされる例が圧倒的に多いです。

勾留に代わる観護措置では,期間は10日間であり,更新は認められておりません。

 

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