2回目の任意整理の可否

弁護士の松山です。

一度任意整理をした場合でも,入院や転職によって今まで通りの収入が途絶えてしまったり,急な出費が発生したりして途中で支払が出来なくなることがあります。

通常,任意整理だと,2回分以上滞納があると期限の利益を喪失するという条項がついた和解をすることが多く,数カ月にわたって返済ができないと一括で請求を受けることになります。

 

このような場合,2回目の任意整理をすることを検討することがあります。

任意整理は,債権者である貸金業者やカード会社と交渉をして和解をまとめる手続ですので,2回目の任意整理ができるかは,債権者の意向次第です。

たとえば,1回目の任意整理をしてから一度も返済をしていなかったり,1回目の任意整理をした直後だったりするときは,債権者からの信用を得られず2回目の任意整理ができない場合があります。

一方で,そのような事情が無ければ,2回目の任意整理の交渉自体が断られることは少ないです。

2回目の任意整理がまとまった場合は,その時点から分割払いとなって毎月の返済額を少なくすることや毎月の返済額は変えずに完済時期のみを遅らせることが可能となります。

たとえば,1回目の任意整理のときに債務額180万円を5年間(60回)で分割して支払う和解をしていて,ちょうど2年間返済したタイミングで支払が出来なくなったときを考えます。

このとき,1回目の任意整理では毎月3万円を返済することとなっており,2年間返済したタイミングでの債務額は108万円です。

支払が出来なくなった理由が入院等で一時的に収入がなくなったことであり,近いうちに退院の見込みがあって職場復帰すれば以前の収入を継続的に得る見込みがあれば,毎月の返済額はそのまま3万円として,支払ができなかった数カ月だけ返済期間をずらすという和解をすることになります。

一方で,支払が出来なくなった理由が,転職等で収入が減少したり子の進学等で支出が増大したりして,1回目の任意整理と比べて返済に回すことができるお金が少なくなったことであれば,以前と同じ返済額を支払うという和解はできません。

その場合は,たとえば,その時点からさらに5年分割での交渉を行うことで毎月の返済額を1万8000円に抑えることを狙うことが考えられます。

万が一,失職等で今後しばらくの間収入の見込みが無かったり,債権者との話し合いがまとまらなかったりすると,2回目の任意整理はできず,自己破産等を決断しなければならないこともあります。