個人再生で計画どおり支払えないとき

1 個人再生で計画どおり支払えないとき

個人再生手続きにおいて,再生計画の認可決定が確定した後に,再生計画どおりに支払うことができなくなってしまうことがありえます。

再生計画は,原則として3年という長期にわたる支払の計画ですので,支払を続けていく中では,給料が減少する,突然大きな出費が必要となる等といった事情のために,やむを得ず計画どおりの支払をすることができないということも考えられます。

そのような場合,どうすればよいのでしょうか。

民事再生法は,以下のような制度を定めています。

2 再生計画の変更

個人再生においては,再生計画認可の決定があった後やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難となったときは,再生計画で定められた債務の期限を延長することができ,この場合においては,変更後の債務の最終の期限は,再生計画で定められた債務の最終の期限から2年を超えない範囲で定める必要があります(民事再生法234条1項,244条)。

たとえば,3年かけて圧縮した債務額を支払うという再生計画の認可決定があり,それに従って支払を続けていたものの,病気で大きな支出が発生した等のやむを得ない事由によって,再生計画どおりの支払が到底出来なくなったときには,2年の期限の延長が可能となります。

3 ハードシップ免責

また,再生計画を遂行することが極めて困難である場合は,次の条件のもとで,裁判所は免責の決定をすることができ,これによって債務者は債務を支払う義務を免れます(民事再生法235条)。

⑴ 再生計画を遂行することが極めて困難となったのは,債務者の責めに帰することができない事由によること

⑵ 再生計画で定められた債務の4分の3以上の額の返済を終えていること

⑶ 再生計画の認可決定時に破産した場合の配当総額以上の返済をし終えていること

⑷ 再生計画の変更をすることが極めて困難であること

4 上述の制度を使えないとき

再生計画の変更もハードシップ免責も,一定の条件を充たさないと利用することができない制度です。

したがって,どちらの制度も利用することができないという事態が生じる可能性があります。

このような場合には,自己破産手続きへと移行するべきです。

もっとも,給与所得者等再生における再生計画が遂行されていた場合には,当該再生計画認可の決定が確定した日から7年以内の自己破産の申立ては,免責不許可事由に該当し(破産法252条1項10号ハ),当該期間内に破産申立てをすると免責が許可されない可能性が高いです。

 

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