個人再生の実務Q&A120問の刊行

きんざいから全倒ネット実務Q&Aシリーズとして,『個人再生の実務Q&A120問』が刊行されました。

 

『個人再生の実務Q&A100問』が刊行されたのが平成20年であり,この10年間の判例・実務の動きをとりいれた書物となっているようです。

 

目次を見る限り,新たに追加された項目は,次のとおりです。

 

1 個人再生手続の流れ・個人の自己破産申立てと比較した場合の留意点

2 5000万円要件③

3 個人事業者の小規模個人再生申立ての留意点

4 債権者一覧表の記載②

5 債権の二重譲渡があった場合の取り扱い

6 住宅に住宅ローン以外の抵当権が設定されている場合の別除権協定の可否

7 マンション滞納管理費の別除権協定,住宅資金特別条項との関係

8 否認対象行為と清算価値保障原則

9 個人事業者の財産の清算価値の算定

10 給与所得者等再生の要件

11 100%弁済と清算価値保障原則

12 弁済期間3年未満の再生計画,再生計画認可確定後の繰り上げ一括弁済

13 再生債権額の減少届出

14 「住宅資金貸付債権」の範囲②

15 住宅資金特別条項の不履行と不足額の取扱い

16 個人再生委員の職務②③

17 災害の被災者に関する特例的運用

 

この他の項目でも内容のアップデートがなされ,特に巻末の事項索引がより使いやすくなっています。

自動車の引き揚げ

自己破産や個人再生をお考えの方が,ローンが残っている自動車を所有している場合,その自動車は業者に引き揚げられてしまう可能性があります。

しかしながら,自動車がなくなってしまうと生活が非常に不便になることが多いので,対策を考える必要があります。

 

すなわち,早ければ,弁護士に依頼して受任通知が送付された1~2週間後には自動車が引き揚げられてしまいます。

債務者本人が自動車ローンを組むことはできませんので,自動車引き揚げ後の自動車確保のための対応としては次の方法を挙げることができます。

①自分の預貯金から一括で安い自動車を購入する。

一定額以上であると裁判所から浪費と判断されるおそれがあります。

②家族や親族に一括で自動車を購入してもらう。

自分に預貯金がないときは,家族や親族の預貯金から自動車を購入してもらって,それを使わせてもらうことも考えられます。

もっとも,生計を同一としている家族の預貯金から購入する場合は,浪費と判断されないような安い自動車である必要があります。

③家族や親族に自動車ローンを組んでもらう。

家族にもまとまった預貯金がない場合は,自動車ローンを組んでもらい,それで購入した自動車を使わせてもらうことも考えられます。