破産を申し立てた前後で相続が開始した場合,どのような手続を採ればよいでしょうか。
1 相続を開始したのが破産手続開始決定の後の場合
まず,相続を開始したのが破産手続開始決定の後の場合,相続は破産手続とは関係しません。
破産手続において考慮される財産及び債務は,破産手続開始決定時に決せられるため,破産者は相続した財産を自由に処分できますし,債務が多いときには相続放棄をすることも自由です。
2 相続を開始したのが破産手続開始決定の前の場合
次に,相続を開始したのが破産手続開始決定の前の場合はどうなるでしょうか。
財産を相続すると,これは基本的には破産財団を構成しますので,最終的には破産手続において換価され,各債権者に配当すべきものとなります。
それでは,相続放棄をしたらどうなるでしょうか。
破産法では,破産手続開始決定前に破産者のために相続の開始があった場合において,破産者が破産手続開始決定後にした単純承認及び相続放棄は,破産財団に対して限定承認の効力を有すると定めています(破産法238条1項)。
ただし,破産管財人(裁判所から選任される弁護士です。)は,相続放棄を承認することもできます(破産法238条2項)。