1 個人再生と住宅資金特別条項
弁護士の松山です。
個人再生では,原則としてすべての債権者を平等に扱う必要があります。
しかしながら,住宅ローンの返済を滞ると住宅についている抵当権が実行され,債務者は自宅を手放さざるを得なくなります。
それでは,生活の本拠を失った債務者の経済的な再生が困難になってしまいます。
そこで民事再生法は,一定の条件を満たす場合に,特別に住宅ローンを今まで通り返済して住宅を残して個人再生をすることを認めています。
このように,住宅を残すために再生計画案に付す条項を住宅資金特別条項といいます。
2 マンション管理費を滞納しているとき
住宅資金特別条項は一定の条件が満たされていないと再生計画案に付けることができません。
たとえば,自宅のマンションをローンで購入している方が個人再生を考えているとき,そのマンションの管理費を滞納している場合には,住宅資金特別条項は認められません。
すなわち,住宅の上に住宅ローン以外の担保権がある場合は住宅資金特別条項を定めることができないところ(民事再生法198条1項但書),区分所有者は,マンション管理費請求権について債務者の区分所有権の上に先取特権が認められており(建物の区分所有等に関する法律7条1項),住宅の上に住宅ローン以外の担保権があることになります。