2度目の債務整理

一度債務整理を行ったにもかかわらず、事情の変更等で支払が困難となったり、新たに債務を負担してしまったりして、再度弁護士に相談し、債務整理を検討しなければならない方もいらっしゃいます。

以下では、債務整理の種類に応じて、どのような場合に2度目の債務整理ができるのか等を見ていきます。

1 任意整理

任意整理は、典型的には債務を分割返済するとの和解をまとめる方法です。

一度和解をして返済中の債権者と、再度分割交渉を行うことも認められない訳ではありません。

しかし、一回目の和解による分割返済が失敗に終わったにもかかわらず、再度分割で返済が可能といえる事情の説明が合理的でないと和解ができない可能性があります。

これと関連して、一回目の和解をして数か月で返済ができなくなった場合には、再度の和解に対する反応は厳しいものとなりやすいです。

2 自己破産

自己破産は、以下の場合はそもそも、原則として自己破産して免責を受けることができないと法律上規定されています。

⑴ 自己破産して免責決定が確定してから7年以内の申立て

⑵ 給与所得者等再生における再生計画認可決定が確定してから7年以内の申立て

また、7年が経過している場合でも、2度目の自己破産では、免責を受けるに当たって、借金をすることに対する意識やお金の使途について厳しく審査される傾向にあります。

 

3 個人再生

⑴ 小規模個人再生の場合

以前に破産や個人再生をしていたとしても、小規模個人再生の申立ては制限されていません。

⑵ 給与所得者等再生の場合

以下の場合には、給与所得者等再生の手続が開始されないことが法律上規定されています。

ア 自己破産して免責決定が確定してから7年以内の申立て

イ 給与所得者等再生における再生計画認可決定が確定してから7年以内の申立て

個人再生における退職金の扱い

1 個人再生における財産の扱い

個人再生においては、総債務額が一定額まで減額されます。

個人再生の手続を定める民事再生法では、所有する財産の評価額よりも低い額には減額できないとのルールが定められています。

財産として扱われるものには、第三者に対する権利も含まれます。

そして、勤務先から将来支払われる予定の退職金も、その一部は財産として扱われます。

 

2 退職金の扱われ方

しかし、定年まで年月を要すると、退職金が将来必ず支払われるかは不明です。

そこで、名古屋地方裁判所では、退職までの期間が3年を超える場合、仮に現在自己都合で退職した場合に支払われるであろう退職金の8分の1相当額が財産として評価されます。

退職までの期間が3年以内の場合は、退職金の支払いが相当程度確実であることから、仮に現在自己都合で退職した場合に支払われるであろう退職金の4分の1相当額が財産として評価されます。

 

3 年金で受け取る場合

なお、最近は、退職金を一時金でなく年金で受け取るように定めた企業も多いです。

確定給付企業年金(DB)、企業型確定拠出年金(DC)を受給する権利は、それぞれの権利を定める法律によって差押えが禁止されているため、個人再生における財産としては評価しない運用となっています。