個人再生における履行可能性の判断

1 履行可能性

個人再生では、3年から5年の間、返済計画に従って債務の返済を履行できるか(これを履行可能性といいます。)の判断が非常に重要です。

履行可能性の有無の判断にあたって、裁判所は、毎月の家計の状況及び弁済原資の積立ての状況を参照します。

たとえば、毎月一定額以上の積立てができなければ、今後返済を継続する見込みがないとの判断がなされます。

また、裁判所は過去の実績を重視する傾向にあります。

そのため、現在は履行可能性がないものの、今後、配偶者がパートに出るなどして収入が増えるために将来的には履行可能性が確保できるとの主張も、裁判所からは認めてもらえない可能性が高いです。

 

2 貯金の取り崩し

毎月一定額以上の積立てを弁護士の口座にしている場合でも、家計の状況が赤字となっていて貯金を取り崩しているような状態では、履行可能性はないと判断されます。

貯金がなくなった後の返済が困難なためです。

 

3 親族の援助

同居の家族とは生計が一つであるため、その者の収入や支出もあわせて履行可能性を判断されるのが通常です。

別居している親族から援助を受けることができるときは、それを申立人の世帯の収入として履行可能性が判断されます。

その場合、名古屋地方裁判所では、援助額及び援助を誓約する旨を内容とする援助者作成の誓約書や援助者の資力を裏付ける資料(給料明細書、源泉徴収票など)を求められます。