1 個人再生でも減額されない債務があります
個人再生は、債務の減額を目指して行います。
しかし、個人再生によっても減額されない債務が存在し、これを非減免債権といいます。
民事再生法において、以下が個別に定められています。
⑴債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
⑵債務者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
⑶民法の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
⑷民法の規定による婚姻費用分担義務
⑸民法の規定による子の監護に関する義務
⑹民法の規定による扶養の義務
⑺⑴から⑹までに掲げる義務であって、契約に基づくもの
非減免債権であるか否かは、再生手続では確定しません。
争いがある場合には、再生手続とは別の訴訟等によって確定します。
2 非減免債権がある場合の再生計画の内容
⑴ 非減免債権のうち、無異議債権と評価済債権については、弁済期間中は再生計画で定められた一般的基準に従って弁済し、弁済期間満了時に弁済期間中の弁済額を控除した残額を一括して弁済します(民事再生法232条4項、244条)。
たとえば、非減免債権が500万円で再生債権の80%が免除されるとの再生計画のとき、3~5年間の弁済期間中に100万円(=500万円×20%)を分割して弁済し、弁済期間満了時に残額の400万円を一括して弁済することになります。
⑵ 上記以外の非減免債権については、弁済期間中は弁済せず、弁済期間満了時に全額を一括して弁済することになります(民事再生法232条5項、244条)。
⑶ いずれの場合も、弁済期間が満了したタイミングで残額を一括で弁済することになるため、支払原資を確保しなければなりません。