自己破産と個人再生のどちらを選ぶべきか

弁護士として債務整理の相談を受けていると、手続の名前は知っているけれど、個人再生と自己破産のどちらが適切か迷っていらっしゃる方も多く見受けられます。

以下では、それぞれの手続の特徴を示して、どのような方がそれぞれの手続をするのに適しているかをご説明します。

 

1 自己破産

裁判所を利用した手続で、裁判所から免責決定を得ることが目的となります。

免責決定が確定すれば、基本的にすべての債務を支払う責任がなくなります。

個人再生と比べたときのメリットは、債務を支払う必要がなくなる点です。

一方で、個人再生と比べたときのデメリットは、主に2点あります。

1点目は、一定額以上の財産を手元に残せない点です。

原則として、合計99万円の範囲内でしか財産を残せません。

また、合計99万円の範囲内であっても、一定の類型の財産(預貯金や保険など)以外は、換価の対象となり手元に残せません。

2点目は、一定の資格や職業に制限がある点です。

警備員や生命保険募集人などは、それぞれの職業を規制する法律で、破産手続中はその職務に就いたり、職務を遂行したりすることが認められていません。制限される期間は、短くて3か月程度ですが、その職業を続けたい方にとっては支障となります。

また、破産の注意点として、免責不許可事由の存在があります。

具体的には、浪費やギャンブルによって過大な債務を負担したこと等であり、これらの事由が存在すると原則として免責が認められません。

ただし、免責不許可事由がある場合でも、例外が認められており、現在は反省し節制した生活をしていること等の事情があれば免責が認められることが多いです。

 

2 個人再生

裁判所を利用して、債務額を圧縮し、3~5年間で返済する手続です。

自己破産と比べたときのメリット・デメリットは、自己破産の項目で述べたことの裏返しです。

すなわち、一定額以上の財産を所有している場合でも必ず手放さなくてはならないわけではなく、資格や職業の法律上の制限もありません。

一方で、債務額は圧縮されるもののゼロになりません。

 

3 まとめ

破産も個人再生も、裁判所を利用する手続です。

裁判所に申し立てる際に提出する書類のほとんどは、両方の手続で共通するため、申立ての準備にかかる手間は同程度です。

そのため、資格や職業の制限が関係なく、大きい財産を持っていなければ、破産を選択するのが適切であることが多いです。