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最近だんだんと暖かくなってきましたね。
弁護士の田中浩登です。
本日は労災事件の「休業(補償)給付・休業特別支給金」についてお話したいと思います。
業務中や通勤途中の怪我が原因で,仕事をすることができなくなった場合,原則的に会社から給料が支払われないことになります。
仕事はできず,給料が入らないにもかかわらず,生活費はかかり続けます。
このような場合にはどうしたらよいのでしょうか。
業務災害・通勤災害の場合には,休業した日の4日目から所得補償として,休業(補償)給付及び休業特別支給金の支給を受けることができます。
支給額
休業(補償)給付=給付基礎日額の60%×休業日数
休業特別支給金=給付基礎日額の20%×休業日数
この支給を得るためには,休業(補償)給付支給請求書に治療を受けている医師から労務不能であった期間の証明を受け,出勤簿や賃金台帳等とともに管轄の労働基準監督署に提出をする必要があります。
休業が長期にわたる場合には1か月ごとに請求を行うことも可能です。
注意が必要なのが,休業(補償)給付支給請求書の療養のために労働できなかった期間とは,病院などで療養を受けて休業をしていることが前提となっているため,病院にかからず自宅療養等している場合には,支給の対象にならないということです。
休業(補償)給付のことで心配がある方は,弁護士法人心までご相談ください。
こんにちは,弁護士法人心弁護士の田中浩登です。
本日は労災事件の「労災保険から受けることができる補償」についてお話したいと思います。
業務中または通勤中に怪我をしてしまい,その怪我が労働災害と認められた場合には,代表的なものとして労災保険から以下のような補償がなされます
① 療養補償給付
怪我の治療費や薬代等,治療に関係する費用については,療養補償給付として補償を受けることができます。
② 休業補償給付
労災が原因で仕事を休業した場合には,4日目以降の休業について補償を受けることができます。
休業補償給付として賃金の6割,休業特別支給金として賃金の2割が補償されます。
③ 傷病補償給付,介護保障給付,障害給付
労災で大きな怪我をしてしまった場合,介護が必要になってしまった場合,後遺障害が残ってしまった場合について,それぞれ補償を受けることができます。
障害給付については,残ってしまった後遺障害の大きさによって,年金が支払われる場合と一時金が支払われる場合があります。
④ 遺族補償給付・葬祭給付
労働災害が原因で当事者がなくなってしまった場合には,遺族は年金や一時金を受け取ることができます。
また,葬儀費用についても労災から給付を受けることができます。
労災にあってしまい,どのような補償がもらえるのか心配な方は,弁護士法人心までご相談ください。
弁護士法人心弁護士の田中浩登です。
本日から,「労災」について記載していこうと思います。
労災とは,労働災害、つまり業務中又は通勤に際して生じた怪我や病気のことをいいます。
労災が発生した場合には,「労働災害保険(労災保険)」から治療費や休業中の給料についての補償が支払われることになります。
労災保険の申請については、労働者が会社を通じて手続きをするのが通常です。
会社は労働者から労災についての申請があった場合は、速やかに手続きを行うことになります。
もっとも,労災が発生したにもかかわらず会社が労災保険を使わせないという場合があります。
その理由としては,会社の安全管理の配慮義務違反として,会社に責任追及がなされるおそれがあること,労災の発生数が多いと労働基準監督署から監査が入る恐れがあること,労災保険を使うと保険料が上がること等があります。
労災を使わないと,被害者は適切な補償を受けることができないので,事故等にあってしまい,補償が必要にもかかわらず,会社が協力してくれない場合等には,弁護士に相談することをおすすめいたします。
労災について,より詳しく知りたい方,ご相談をご希望の方は,弁護士法人心までご相談ください。
こんにちは,弁護士法人心弁護士の田中浩登です。
本日は,「離婚事件」における婚姻費用分担請求についてお話させていただきます。
離婚について協議,調停,訴訟を行っている最中であったとしても,婚姻関係にある夫婦は互いに扶養する義務を負い続けます。
そのため,離婚を考えて別居している場合には,夫婦の一方は他方に対して,自分の生活を保持するのと同程度の生活を保持させるために生活費などの「婚姻費用」を負担する義務を負うことになります。
婚姻費用をいくらもらえるのか,あるいは,支払わなければならないのかについては,どちらが子供と共に生活しているのか,それぞれの収入がどれくらいであるかによって異なります。
婚姻費用の支払がない場合や支払が足りない場合には,婚姻費用の分担を求めて調停を申し立てることができます。
調停を申し立てたときに,どのくらいの婚姻費用が決められるのかについては,裁判所のホームページにある婚姻費用の算定表を確認することである程度の目星をつけることができます。
婚姻費用の分担請求について,より詳しく知りたい方,自分のケースでどのくらいになるのかを知りたい方は,弁護士法人心までご相談ください。
こんにちは,弁護士法人心弁護士の田中浩登です。
本日は,「離婚事件」における慰謝料についてお話させていただきます。
離婚に伴う慰謝料の請求としては,離婚原因である個別の行為(例えばDVや不貞など)によって生じた精神的苦痛に対する損害賠償請求と離婚により配偶者としての地位を失うことについての精神的苦痛に対する損害賠償請求のふたつが考えられます。
慰謝料の請求が認められる典型例としては,①不貞行為があった場合,②暴力,犯罪,悪意の遺棄があった場合,③婚姻生活の維持への協力がない場合,④性交渉拒否・性的不能の場合が考えられます。
慰謝料の金額については,結婚から離婚に至るまで様々な事情を考慮して決められることになりますが,主には,有責行為の程度・割合・態様,背信性,精神的苦痛の程度,婚姻関係破綻に至る事情,婚姻生活の実情,当事者の年齢・社会的地位・支払能力・親族関係,子どもの有無,離婚後の生活の状況等を考慮の上決められることになります。
慰謝料の請求が認められるか,認められるとしてどれくらいの金額が認められるのか,相場がどの程度かは,案件や事情により大きく異なりますので,弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
弁護士法人心弁護士の田中浩登です。
本日は,「離婚事件」における財産分与についてお話させていただきます。
離婚をした場合,一方は他方に対して,婚姻中に築いた財産について分けるよう求めることができます
これは法律上の権利であり(民法768条1項),この権利のことを「財産分与請求権」といいます。
財産分与には,以下の3つの要素があるとされています。
①精算的要素
夫婦が婚姻中に協力して形成した財産を精算すること
②扶養的要素
離婚をすると経済的に困ってしまう方に対して,経済的援助をすること
③慰謝料的要素
相手方の有責な行為(不倫やDV等)により,離婚を余儀なくされたことに対する精神的苦痛に対する賠償をすること
離婚にあたって,本来はしっかりと財産をもらえるはずであるにもかかわらず,そのことについて知らずに財産をもらえないまま離婚をしてしまう方が多数いらっしゃいます。
離婚をして新しい生活を始めるにあたっては,しっかりと財産分与を受けておく必要があります。
「離婚において財産分与の対象となる財産にはどんなものがある?」「しっかりと財産分与を受けるためには離婚の前に何をしておけばいい?」等,離婚における財産分与について詳しく知りたい方は,弁護士までご相談ください。
こんにちは,弁護士の田中浩登です。
本日は,「離婚事件」における子との面会交流(面接交渉)についてお話させていただきます。
父母が離婚した場合,子は父母の一方と同居することになります。
このとき,子と一緒に生活していない親が子と直接会うなどの交流をすることを面会交流といいます。
面会交流の性質については,親の権利であるとする見解や親と交流することで精神的に成長・発達するという子の権利であるとする見解等が様々ありますが,どのように面会交流をするかを決めるにあたっては子の福祉といった観点から,その可否や条件を判断するというのが実務の考え方です。
面会交流については,子の福祉・利益を考えれば,子の福祉を害する恐れがない限りはこれを実施する方向で検討される傾向にありますが,以下のようなケースでは,面会交流を禁止・制限される必要があるとされます。
①面会交流を実施すると子を連れ去られる可能性があるとき
②非監護親が子と同居していたときにおいて,虐待などの不適切な養育があったとき
③非監護親が監護親と同居していた際に,監護親に対してDVを行っていたとき
④子自身が面会交流を拒否している又は子が情緒不安定であるとき
離婚後の子との面会交流について詳しく知りたい方は,弁護士までご相談ください。
こんにちは,弁護士の田中浩登です。
本日は,「離婚事件」における未成年の子の養育費についてお話させていただきます。
未成年の子の親は,直系血族として子に対する扶養義務を負っており,父母が離婚しても,ともに子の親であることに変わりはないから,それぞれ子の養育に関する費用を分担することになります。
養育費については,父母でその分担について協議することになっていますが,協議が調わない場合には,家庭裁判所が決めることになります。
家庭裁判所において養育費の分担を決めるにあたっては,養育費算定表というものを用いており,インターネットで「養育費 算定表」と検索していただければ,裁判所のホームページにて公開されている算定表を見ることができます。
算定表では,当事者双方の収入を認定した上で,算定表の交わる点における金額の幅において養育費を決めることになります。
養育費については,子が20歳に達するまで負担するのが原則ですが,子が大学又は専門学校等に進学する場合には,子が20歳以上になっても養育費の支払い義務があるとされることがあります。
離婚後の子の養育費について詳しく知りたい方や養育費がどのくらいになるのか気になる方は,弁護士まで一度ご相談ください。
弁護士の田中浩登です。
本日は,「離婚事件」における未成年の子の親権についてお話させていただきます。
離婚することが決まったとしても,未成年の子がいる場合には,その子の親権者をどうするのかというのが大きな問題になることがあります。
親権とは,親が未成年の子を,健全な社会人にするために看護教育する権利及び義務のことであり,①子の身上を保護・監督し,子を教育して精神的発達を図る監護養育の権利義務(身上監護権)と②未成年の子が財産を有するときにその財産管理をし,その財産上の法律行為につき子を代理したり同意を与えたりする権利(財産管理権)を内容としています。
父母のうち,どちらを親権者にするかについて争いになった場合,家庭裁判所の審判例等においては以下の5点が考慮されます。
⑴ 監護の継続性
特別な事情がない限り,現実に子を養育監護している者を優先させるべきとする要素
⑵ 母親優先の基準
乳幼児については,特別な事情がない限り,母親の監護を優先させるべきとする要素
⑶ 子の意思の尊重
未成年の子自身の意思を慎重に確認し,判断するべきとする要素
⑷ 兄弟姉妹の不分離の原則
可能な限り,兄弟姉妹の関係を切ることがないようにするべきとする要素
⑸ 離婚に際しての有責性
離婚に際して,有責である配偶者は親権者としても不適当であるのではないかとする要素
いずれにしても,子の親権に関する判断は,将来性を見据えた上で,様々な要素が考慮される非常に難しいものとなります。
子の親権についてご不安な方は,弁護士にご相談ください。
こんにちは,弁護士の田中浩登です。
本日は,前回に引き続き「離婚事件」についてお話させていただきます。
前回,離婚において押さえておくべき視点として,「① 相手方の同意があるか」が重要であることをご紹介しました。
では,相手方が離婚に同意しない場合,離婚はできないのでしょうか。
そんなことはありません。
相手が離婚に同意しなくても離婚できる場合として,5つの法律上の離婚原因(民法770条)が定められています。
①配偶者に不貞な行為があったとき。
②配偶者から悪意で遺棄されたとき。
③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
⑤の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」とは,婚姻関係が破綻し,回復の見込みがないことを言います。
①~④までに匹敵するほどの重大な事由である必要があり,例えば,暴力(DV),精神的虐待,犯罪行為,家族の放置,親族との不和,性生活の異常,相当長期間の別居等が,これに該当する可能性がある事由となります。
もし,法律上の離婚原因がない場合であっても,離婚の条件次第によっては相手方が応じてくれる可能性もあります。
ご自身で交渉されて,うまくいかなかった場合,DV等のおそれがあってそもそも交渉出来ないような場合には,交渉のプロである弁護士にご相談ください。
こんにちは,弁護士の田中浩登です。
本日は,「離婚事件」についてお話させていただきます。
離婚事件は,弁護士が取り扱うことが多い分野の一つです。
離婚は人生における重大な危機であり,慎重に行動をしないと大きな問題を今後の人生においてずっと引きずることになる可能性があるものですので,弁護士がお力になれるケースが多数あります。
私が所属する弁護士法人心でも,離婚事件について力をいれて取り扱っています。
離婚を考えたときには,以下の3つの視点を押さえておくことが必要です。
① 相手方の同意があるか
② 子供についてはどうするか
③ お金についてはどうするか
①は,相手方が離婚に同意しているかどうかです。
相手方が離婚に同意している場合には,離婚に伴う条件などが決まれば協議で離婚することができます。
一方で相手方が離婚に同意していない場合には,離婚が認められるための法律的要件である離婚原因があるかどうかが問題になってくることが多いです。
②については,離婚に際して,未成年の子がいる場合には,その子の親権者をどうするのか,養育費はどうするのか,子との面会の方法をどうするのかなどを検討する必要があります。
③については,離婚の際の財産分与や年金分割をどうするのか,慰謝料が発生するのか,婚姻費用の分担請求をするのかなどを考える必要があります。
離婚について悩んでいらっしゃる方は,お気軽にご相談ください。
弁護士法人心の田中浩登です。
本日は,転居をした場合の住所変更手続きについてお話しいたします。
転居をした場合には,ご存じのとおり,役所において住所変更手続きを行わなくてはなりません。
このことについては法律の定めがあります。
住民基本台帳法では,「転出」(市町村の区域外へ住所を移すこと)の場合には,あらかじめ、氏名、転出先及び転出の予定年月日を市町村長に届け出なければならない(同法24条)となっており,「転入」(新たに市町村の区域内に住所を定めること)の場合には,転入をした日から十四日以内に届出をしなければならないことになっています(同法22条)。
正当な理由がなく,届け出をしない場合には,五万円以下の過料が科せられることがあります(同法52条2項)。
ただし,裁判例からすると,生活の拠点が移動しない場合や新しい住所に住むのが1年未満であることがあらかじめ分かっている場合には,必ずしも届出をする必要はないようです。
現住所の証明は様々な場面で求められますし,弁護士にご依頼いただく場合も,日本弁護士連合会の依頼者の本人特定事項の確認に関する規程により,本人確認として現住所が記載された本人確認書類の提示等が求められることもありますので,住所変更をした場合にはしっかり届出をしておくことが望ましいですね。
こんにちは,弁護士の田中浩登です。
前回に引き続き,マネーローンダリング規制に伴う弁護士の本人確認の義務についてお話させていただきます。
平成29年12月8日の日弁連臨時総会における「依頼者の本人特定事項の確認及び記録保存等に関する規程」(以下,「本規程」という。)の改正により,弁護士が依頼者に対して本人特定事項の確認を行っているか,記録を保存しているのかについて,各所属弁護士会に年次報告書を提出することになりました。
平成30年1月1日から3月31日までについては,平成30年6月30日までに,①持参,②郵送,③FAX,④ウェブサイトに入力(平成30年1月時点では各弁護士会にて準備中),⑤電子メールに添付のうちいずれかの方法で提出することとなっており,それ以降は前年4月1日からその年の3月31日までの期間につき,同様の方法で毎年6月30日限りに提出することとなっています。
弁護士法人の場合には,まず,社員たる弁護士および社員でない弁護士自身が,各所属の弁護士会に年次報告書を提出することが必要となります。
それに加えて,主たる法律事務所の所属する地域の弁護士会には主たる法律事務所及び従たる法律事務所(当該地域の内外にかかわらず)の全ての法律事務所にかかる事項を報告し,従たる法律事務所の所属する地域の弁護士会には従たる法律事務所に係る事項のみを報告することが求められています。
依頼者の本人特定事項の確認や記録の保存,年次報告書の作成については,日弁連のホームページに詳しい情報が掲載されているほか,eラーニングにて「簡単!依頼者の本人確認と年次報告書の作成」という40分程の講座が用意されているため,弁護士はそちらで正確な情報を得るのが良いと思われます。
また,事件管理及び記録保管のための雛形についても日弁連のホームページに掲載されています。
雛形を用いることまでは義務とされていませんが,そちらを用いると,確認の漏れ等が少なくなるのではないでしょうか。
弁護士に依頼を考えている方の中には,弁護士から本人確認の書類の提出等を求められるのでやや面倒に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし,犯罪組織やテロ組織の資金調達の手段として,弁護士を介したマネーローンダリングが用いられることを未然に防ぐためには,依頼者さん一人ひとりの理解が必要となります。
どうかご協力いただければと思います。
以上,マネーローンダリング規制に伴う弁護士の本人確認についてでした。
こんにちは,弁護士の田中浩登です。
本日は,マネーローンダリング規制に伴う弁護士の本人確認の義務についてお話させていただきます。
弁護士の本人確認義務については,直接的には弁護士以外の方の利害にはかかわらなさそうな部分ですが,弁護士にご依頼いただく上で非常に重要な規制になってきますので,知っておいていただければと思います。
そもそも,マネーローンダリングとは,犯罪収益などによって生じた金銭につき,口座を転々とさせたり,物へと形を変えたりするなどして,出所をわからなくすることをいいます。
その手段として,弁護士への依頼や送金が使われる恐れがあるとのFATFの指摘を受け,その対策のために日弁連で定められたのが「依頼者の本人特定事項の確認及び記録保存等に関する規程」(以下,「本規程」という。)です。
平成29年12月8日の日弁連臨時総会によって本規程の規則が改正され,今年,平成30年1月1日より,依頼者の本人特定事項の確認と記録保存等の履行状況の報告が義務化されました。
これに伴い,各弁護士事務所で,依頼を受ける際には以前より厳格な形で本人確認が行われることになることが予測されます。
本規程により,本人特定事項の確認が必要なのは以下のような場合となります。
1 法律事務に関連して200万円以上の資産を預かる場合
2 次に掲げる取引等の準備または実行する場合
⑴ 不動産の売買
⑵ 企業のM&A取引,設立・出資取引,定款の目的の変更
⑶ 団体等の業務執行者又は代表者の選任
⑷ 信託契約の締結,信託の併合若しくは分割又は信託契約若しくは規約に規定された目的若しくは受託者の変更
⑸ 資産が犯罪収益の疑いがある場合,犯罪収益の隠匿の疑いがある場合
⑹ 同種の取引,行為の態様と著しく異なる態様である場合
3 法律事務に関連することなく資産の預託を受ける場合
また,①依頼者が法人その他の団体である場合や②依頼者が子供で依頼行為を行うのが法定代理人である場合など,依頼者と依頼行為を行っている自然人が異なる場合については依頼権現の確認が必要とされています。
具体的な本人特定事項の確認方法としては,以下のとおりです。
A 自然人の場合
【対面】①~③のいずれかの方法
① 写真付自然人本人確認書類(運転免許証や旅券等)の提示
② 自然人本人確認書類(住民票の写し等)の提示
+委任契約書等を転送不要郵便で送付する
③ 保険証・年金手帳等の提示
+保険証・年金手帳等の提示
or+自然人本人確認書類の提示又は送付を受ける
or+補完書類(公共料金の領収書等)の提示又は送付を受ける
【非対面】
④ 自然人本人確認書類(住民票の写し等)の送付を受ける
+委任契約書等を転送不要郵便で送付する
B 法人の場合 ①~③のいずれかの方法
① 法人本人確認書類(登記事項証明書等)の提示
② 法人本人確認書類(登記事項証明書等)の写しの送付を受ける
+委任契約書等を転送不要郵便で送付する
③ 弁護士が官公庁等から法人本人確認書類(登記事項証明書等)の発行又は発給を受ける
(「マネーローンダリング規制と依頼者の本人確認②」へつづく)
名古屋の弁護士の田中浩登です。
今回は,少年事件における少年審判,弁護士の活動についてお話させていただきます。
少年事件における少年審判は,成人の刑事事件の裁判とは異なり,問題となっている非行事実のみでなく,少年の「要保護性」についても審判の対象になります。
「要保護性」は,
①再非行の危険性(少年の性格や環境に照らして将来再び非行に陥る危険性があるか否か)
②矯正可能性(保護処分による矯正教育を施すことによって再非行の危険を除去できる可能性)
③保護相当性(保護処分による保護がもっとも有効かつ適切であるか)
を内容とするものです。
この要保護性が審判の対象とされていることで,非行事実が軽微であったとしても,要保護性が高い場合には少年院送致のような重い処分に付されることがあるので,要保護性の解消に向けた活動が重要となります。
非行事実に争いがない場合には,弁護士は,少年が被疑者段階のときには弁護人として,家庭裁判所に送致された後については付添人として,主として少年の要保護性の解消に向けた活動を行います。
具体的には,少年自身への働きかけ,家庭環境の調整,学校・職場関係の調整,被害者対応等といった活動を行うこととなります。
少年自身への働きかけは,要保護性解消のための根幹となる活動です。
どれほど周りの環境を整えたとしても,少年自身がその環境で変わっていけなければ真に更生することはできません。
そのため,弁護士は,少年が事件について内省を深め,事件の背景にある問題に向き合って対処していくための働きかけをしていくこととなります。
家庭は,少年にとってもっとも身近な環境であり,少年の非行の背景には,家庭の問題があるということが少なくありません。
そのため,弁護士は少年の家族とよくコミュニケーションをとって,家庭の状況を把握し,家庭内の少年の居場所を確保できるよう調整を行うこととなります。
学校や職場の調整は非常に慎重に行う必要があります。
私立高校等では,少年が事件を起こして逮捕されたことが知られるとそれだけで退学させられる等,少年の要保護性を解消する上で障害が生じることがあります。
そのため,学校や職場に非行の事実が知られていない場合には,早期に身柄拘束を解き,通学・通勤できるよう活動を行っていくことになります。
学校や職場にすでに非行の事実が知られている場合には,学校や職場の協力を求め,審判の後も受け入れてもらえる体制を整える等,少年が更生するための社会的資源を確保するための活動を行います。
被害者のいる事件について,被害者に謝罪し,適切な被害弁償を行うことは重要です。
少年が心から反省し,謝罪する気持が持てるよう,弁護士としては働きかけを行い,少年が反省できたときには,謝罪文等の形にして,被害者へ届けるなどの活動を行います。
以上のように,少年事件における弁護士の活動は多岐にわたりますが,弁護士は少年の更生のために全力を尽くしています。
こんにちは,弁護士の田中浩登です。
最近,付添人として活動していた少年事件が一件終結いたしました。
事件を振り返りながら,少年事件についてお話したいと思います。
まず,「少年」とは,満20歳に満たない者のことであり,男女問わず「少年」となります。
少年が犯罪を行った場合には,通常の成人の犯罪についての刑事事件とは異なり,少年事件として処理されることになります。
成人の犯罪については,犯してしまった罪について償い,本人が再び犯罪を行うことがないようにすること,一般人の犯罪を予防することを目的として刑罰が科せられることになります。
これに対して,少年の犯罪については,少年の健全な育成という教育目標のために教育的・福祉的な処遇を行うことで,少年の更生を目指す「保護主義」のもとで,原則として刑罰が科せられるのではなく保護処分が行われることになります。
このように少年事件について,通常の刑事事件と異なる扱いをされている理由は,
①少年は一般に,精神的に未熟な上,環境の影響を受けやすく,たとえ非行を犯したとしても,それは深い犯罪性に根ざすものではないから,成人と同様に刑罰によって非難し,社会的責任を追及するのが妥当でないこと
②少年は,人格の発達途上にあって,可塑性に富み,豊かな教育的可能性があるから,処罰よりもむしろ教育的手段によって再非行防止を図る方がより効果的であり,また,その方が本人のみならず,社会にとっても利益になるところが多いこと
にあります。
保護処分の内容には,以下の3種類あります。
⑴決められた約束事を守りながら家庭等で生活し,保護観察官や保護司から生活や交友関係などについて指導を受けることになる「保護観察処分」
⑵比較的低年齢の少年について,開放的な施設で必要な指導を行い,その自立を支援することを目的とした「児童自立支援施設・児童養護施設送致」
⑶少年が再び非行を犯す恐れが強く,社会内での更生が難しい場合に,再び非行を犯すことのないように,少年に反省を深めさせるとともに,謝罪の気持ちを持つように促し,あわせて規則正しい生活習慣を身に付けさせ,職業指導をするなど,施設内で全般的指導を行う「少年院送致」
の3種類です。
どのような処分が行われるかについては,刑事事件のように公開の法廷で判断されるのではなく,家庭裁判所における非公開の少年審判によって決定されることになります。
次回は,少年事件における少年審判,弁護士の活動についてお話させていただきます。
こんにちは,弁護士の田中浩登です。
2週連続の強い台風に見舞われました。
本日,新幹線で帰宅することになっていたので心配しましたが,幸い45分程遅延して動き出してくれて無事帰宅することが出来ました。
こんにちは,弁護士の田中浩登です。
本日は,社内でむちうちの後遺障害についての勉強会を行いました。
交通事故にあってしまい,その怪我について治療通院中にさらに別の交通事故にあってしまい,同じ箇所について怪我をしてしまった場合に,誤解されないように後遺障害等級を獲得するためにはどのようにすべきか等について学びました。
こんにちは,弁護士の田中浩登です。
本日は,愛知県弁護士会にて研修を受けてきました。
相続,破産,労働審判,外国人関係の事件について,経験の豊かな弁護士から話を聞くことができました。
また,同じく研修を受けている弁護士とともに,刑事事件の経験についてより良い弁護活動をするためにはどうすればよいか,意見交換を行いました。