裁判員裁判は通常の裁判とどのように違うのですか?
1 通常の裁判では裁判官だけが裁判を行います
通常の刑事裁判では,罪を犯した被告人を,どのような刑に処すかを決める判断を,裁判官だけで行います。
2 裁判員裁判では裁判に国民の声が反映されます
これに対して,裁判員裁判は,刑事裁判のうち,地方裁判所で行われる刑事裁判に,国民から選ばれた裁判員が参加する制度です(裁判員裁判対象事件についてはこちらをご覧ください。)。
そして,裁判員は,刑事裁判に参加して,被告人が有罪か無罪か,有罪の場合どのような刑に処するのかを裁判官と一緒に決めます。
このようにして,裁判員裁判では,刑事裁判の手続きに,一般の国民の声が反映される仕組みになっています。
3 スピーディーな審理を実現するための手続き
この裁判員裁判の手続きは,裁判官のみによる裁判手続きと基本的には 同じです。
しかし,法律知識がなく,初めて裁判を経験する一般市民が刑事裁判に加わるのですから,通常の裁判と違う点もあります。
一般市民から選ばれた裁判員は,裁判の期間中,自分の仕事を休むなど私生活に大きな影響を受けます。
そのため,通常の刑事裁判以上に,効率的でスピーディーに審理を行う必要性があります。
そのためにとられている施策の一つが,公判前整理手続きです。
これは,法廷で審理を行う前,すなわち公判の前に,裁判官・検察官・ 弁護人の三者で,裁判における争点を絞り,証拠を整理し,審理計画を立てるための手続きです。
この手続きの中で,検察官が持っている証拠が弁護人に開示されたり,検察官・弁護人両者の主張を明らかにしたり,公判で取り調べる証拠や証人を決めたりします。
このように,証拠等を整理することにより,迅速な裁判が行われるようになります。
また,次に,集中審理がなされる点が挙げられます。
これまでの裁判は,月に1~2回程度のペースで公判が開かれていまし た。
ただ,裁判員裁判では,上記のように公判前手続きにおいて予め公判に向けた準備ができていたり,証拠等が整理されていますので,数日連続して公判を行うことが可能となりました。
そして,連日開廷で集中的に審理を行い,審理終結後,直ちに評議(裁判官と裁判員が行う会議)が行われ,判決が言い渡しされます。
このように,公判前整理手続きや集中審理によって,スピーディに審理を行うことが可能になります。
4 審理を分かりやすくする工夫
さらには,上記のような手続きを実現するため,そして,法律の知識のない一般市民にも適切に判断できるよう,裁判官・検察官・弁護人には,分かりやすい裁判を行うよう意識づけられる点も裁判員裁判の特徴として挙げることができます。
例えば,専門用語を使わず分かりやすい説明をすることを心掛けたり,調書を読み上げるのではなく証人に直接証言してもらうといった工夫を行うことが求められます。
裁判員裁判が始まったことにより,裁判員に分かりやすい裁判を実現するためにも,法律知識だけでなく,例えばプレゼンテーション能力を高めるなど,研さんを積むことが弁護士には求められています。
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