赤本基準とは何ですか?
1 赤本基準とは
⑴ 「赤本」とは、交通事故に基づく損害の考え方や、損害額算定の基準等が書かれた本のことを通常意味します。
この本は、「損害賠償額算定基準」という本であり、通常、「赤本」、「赤い本」等とよばれています。
一般的には、赤本に記載されている損害額算定は「赤本基準」とよばれています。
裁判所においても、赤本を参考にして損害賠償額を判断することが多いです。
⑵ 赤本基準として比較的よく使われるものに、入通院慰謝料の基準と後遺症慰謝料の基準があります。
①入通院慰謝料の基準には、「別表Ⅰ」という基準と「別表Ⅱ」という基準があり、別表Ⅱよりも別表Ⅰの基準の方が、慰謝料の金額が高くなっています。
具体的な症状等に応じて、被った精神的苦痛が異なると考えられていることから、むち打ち症で他覚症状がない場合には、慰謝料の金額が低い別表Ⅱを用いて、その他の場合に別表Ⅰを用いるとされています。
たとえば、赤本別表Ⅰの通院慰謝料は、通院期間を基準として、1か月:28万円、3か月:73万円、6か月:116万円となっている一方で、赤本別表Ⅱの通院慰謝料は、通院期間を基準として、1か月:19万円、3か月:53万円、6か月:89万円となっています。
赤本別表Ⅰの入通院慰謝料は、基本的には入院期間や通院期間で計算をしますが、通院が長期にわたり、かつ不規則な場合には、実日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることがあります。
赤本別表Ⅱを用いる場合には、慰謝料算定のための通院期間はその期間を限度として、実日数の3倍程度を目安と考えることとされています。
②後遺症慰謝料の基準は、後遺障害の等級ごとに、基準の金額が決まっています。
赤本基準では、1級:2800万円、2級:2370万円、3級:1990万円、4級:1670万円、5級:1400万円、6級:1180万円、7級:1000万円、8級:830万円、9級:690万円、10級:550万円、11級:420万円、12級:290万円、13級:180万円、14級:110万円となっています。
⑶ このように、赤本には、入通院慰謝料や後遺症慰謝料の基準が記載されており、この基準が赤本基準とよばれているものになります。
この他にも、赤本には、交通事故に基づく損害の基準額、計算方法や考え方等が記載されています。
2 赤本基準での示談
赤本基準は赤本に記載されていますが、実際には、保険会社は赤本基準での慰謝料を提示することは少ないです。
保険会社とはいえ、営利企業ですから、被害者の賠償金を抑えて示談したいと考えることが多いものと思われます。
そのため、弁護士が介入しておらず、被害者の方が個人で保険会社と示談交渉をする場合には、赤本基準で示談をすることは難しいことが多いです。
当法人には、名古屋駅から徒歩2分の場所に事務所がありますので、名古屋周辺で弁護士をお探しの方、相手方保険会社から提示された示談金の額に不安がある方、赤本基準での算定額を知りたい方は、ぜひ一度、当法人までご相談ください。
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