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弁護士は赤本基準で慰謝料の交渉をすると聞きましたが,どういうことですか?

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2022年3月22日

1 交通事故の慰謝料

交通事故にあってお怪我をされた被害者の方は、そのお怪我の治療のために要した入通院期間や日数に応じて、相手方へ入通院慰謝料を請求することができます。

入通院慰謝料の計算方法には、自賠責保険から支払われる際の算定基準である自賠責基準、任意保険会社独自の算定基準である任意保険会社基準、そして弁護士が示談交渉を行う際や裁判所が判断する際の基準である弁護士基準(裁判基準とも言います。)があります。

この弁護士基準とは、通常、公益財団法人日弁連交通事故相談センターが発行する、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」という本に基づくものです。

この本は表紙が赤いため「赤本」と呼ばれ、弁護士基準を「赤本基準」とよぶこともあります。

参考リンク:日弁連交通事故相談センター・当センターの刊行物について(青本及び赤い本)

赤本には、過去の裁判例の蓄積を踏まえて交通事故の損害賠償請求において認められる項目、基準等が説明や裁判例とともに記載されています。

弁護士が示談交渉や裁判をする場合には、通常、赤本を参考にしますし、多くの裁判官も参考にしています。

2 赤本基準と他の基準の違いとは

⑴ 自賠責基準

自賠責基準は自動車損害賠償責任保険の支払基準であり、自動車損害賠償保障法に基づいて定められていて、自賠責保険から支払いを受ける場合に用いられるものです。

自賠責基準での慰謝料の計算は、1日あたりの慰謝料を4300円とし、入院日数、実通院日数×2の合計日数と、総通院期間のいずれか少ない日数を掛けて行われます(令和2年4月1日以降に発生した交通事故の場合)。

⑵ 任意保険基準

任意保険基準は、任意保険会社が各社で定めている支払基準です。

示談交渉の際に任意保険会社が最初に提示している金額の多くは、自賠責基準か任意保険基準で算出されています。

これは任意保険会社が各社内部で定めた独自の基準ですので、計算方法や基準はまちまちですが、自賠責基準より多少高い程度で、赤本基準よりは低額であることが多いです。

⑶ 赤本基準

ア 赤本別表Ⅰと別表Ⅱ

赤本基準は、けがの程度によって2種類あり、原則として別表Ⅰという基準を用いますが、むちうちで他覚所見がない場合や、軽い打撲、軽い挫傷の場合は別表Ⅱという基準を用います。

そのため、多くの交通事故において、別表Ⅱが使用されています。

例えば、同じように週2回の通院でも、骨折で6か月通院の場合の慰謝料は、赤本別表Ⅰを基準とするので116万円ですが、むちうちで6か月通院の場合の慰謝料は、赤本別表Ⅱを基準とするので89万円となります。

イ 基礎とする期間

赤本別表Ⅰも別表Ⅱも、総通院期間(入院している場合は、その期間も含みます。)を基礎として計算します。

ところが、通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度を踏まえて、赤本別表Ⅰの場合は実通院日数の3倍程度、別表Ⅱの場合は実通院日数の3.5倍程度の日数を基礎として計算することもあります。

例えば、むちうちで6か月通院しているが、月に1回診察に行っていたのみで、実通院日数6日という場合は、総通院期間180日を基礎とせず、6日×3.5=21日を基礎として計算することがあるのです。

3 慰謝料のご相談は弁護士法人心 名古屋法律事務所へ

弁護士が赤本基準で慰謝料額について交渉することで、自賠責基準や任意保険会社基準よりも高い金額の慰謝料で示談できる可能性が高まります。

当法人には、交通事故を集中的に扱う弁護士が多数在籍しております。

名古屋駅から徒歩2分という便利な立地に事務所がありますし、交通事故については電話相談もご利用いただけますので、慰謝料の計算については当法人までご相談ください。

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