弁護士に依頼したら裁判になるのですか?
1 弁護士に依頼しても裁判になるわけではない
映画、ドラマ、漫画、ゲーム等の影響で、弁護士に依頼したら、即裁判をするというイメージをお持ちの方も少なくありません。
しかし、実際には、弁護士に依頼した場合でも、裁判にならずに、話し合い等で解決されることも多くあります。
2 弁護士はあえて話し合いでの解決を選択することがある
- ⑴ 解決までの時間
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裁判となると、1年近い時間がかかることも珍しくありません。
また、1回目の裁判の結果に不服がある場合は、控訴ができますので、控訴などした場合はさらに解決までの時間がかかります。
そのため、話し合いでの解決と比較して裁判での解決は時間がかかることが多いです。
- ⑵ 裁判にかかる費用
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裁判を行う場合、期日ごとの訴訟日当や裁判所までの交通費、追加調査のための費用等がかかります。
そのため、費用をかけて裁判をした方が良いのか、裁判の見通しを踏まえた検討が必要になります。
- ⑶ 裁判では証拠による立証が必要不可欠
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裁判では、主張する側が、証拠によって証明しなければなりませんので(判例・通説によると、「特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認し得る高度の蓋然性を証明する」)、証拠不足等によって、十分な成果があげられないというリスクがあります。
以上のように、裁判という手段は万能ではないため、話し合い解決の余地がないような場合を除いて、裁判で主張する事実が否定されるリスクの程度や解決までの時間、費用などを考慮し、まずは話し合いでの解決を検討することが多いです。
そのため、通常、弁護士は、ご依頼いただいた際、いきなり裁判を行うのではなく、話し合いでの解決を検討してから、話し合いでの解決よりも裁判をした方が良い結果が得られる可能性がある場合に裁判を行う選択をします。
3 弁護士は依頼者の方の意向を尊重する
弁護士は、依頼者の方の意向を尊重して職務を行いますので、裁判をするかどうかにつきましても、依頼者の方の意向を尊重します。
もちろん、どのような選択が良いのかわからないという依頼者の方も多くおられるため、依頼者の方が適切な判断を行うための情報提供や説明は、弁護士から十分に行わせていただきます。
したがって、弁護士の立場からすると裁判をした方が良いと考えている場合でも、依頼者の方が、解決までの時間や証人尋問の負担(裁判官の前で事件に関する質問に答えること)等を考慮して裁判を望まないという場合は、弁護士は依頼者の方の意向を尊重し、無理に裁判を行うことはありませんので、ご安心ください。
4 最後に
以上のように、弁護士に依頼したら、弁護士は最適な方法での解決を目指すため、依頼者の方のご意向を踏まえたうえで、裁判になる場合もありますが、弁護士に依頼したら必ず即裁判というものではありません。
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