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シートベルトを装着せずに運転していたところ事故に遭いケガをしたのですが,シートベルトを装着していなかったことは不利になるのですか?

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2020年8月3日

1 結論

上記質問に対する回答としては,シートベルトを装着していなかったことは,不利に評価されることがありますということになります。

自動車を利用する際は,必ずシートベルトを装着するようにしましょう。

2 シートベルト不装着はなぜ不利に評価されるのか

シートベルトを装着していなかったことのみで被害者側が不利に評価されることはありません。

しかし,シートベルトを装着していなかったことで損害が拡大した場合は,交通事故による損害の発生について被害者側にもいくらかの過失(おおむね5~20%程度)があるとして過失相殺が行われることがあります。

シートベルトの不装着によって損害が拡大した部分については,被害者側の過失により生じた損害と評価され交通事故の相手方は賠償責任を負う範囲に含まれないと評価されるためです。

3 後部座席のシートベルト装着義務化

2008年の道路交通法の改正により,自動車の運転者は,運転席以外の助手席,後部座席に人を乗車させる場合には,シートベルトを装着させないで運転することはできなくなりました(道路交通法第71条の3第2項参照)。

つまり,自動車に乗車する場合には,運転席や助手席の方だけでなく,後部座席の方にもシートベルトで身体を座席に拘束することで、座席外へ身体が投げ出されないようにし負傷を防ぐ義務が法的に課されるようになりました。

そのため,最近は,シートベルトを装着していなかったことを理由に被害者側の損害拡大の過失を認定し過失相殺を行う裁判例が増えています。

4 具体的事例

シートベルト不装着によって,損害を拡大させた場合に被害者側にも損害拡大に対して過失があるとして過失相殺した判例としては下記のようなものがあります。

  1. ⑴ タクシー運転手がてんかんの発作により意識を失い,建物の外壁に衝突し,シートベルト不着用の乗客が負傷した事案につき,乗客の過失を5%認めた裁判例
  2. ⑵ タクシー乗車タクシーの後部座席ドア内側に「安全のためにシートベルトをおつけください」と記載されたステッカーを貼付していたが,乗客がシートベルトを着用していなかったところ,タクシー運転手が急ブレーキをかけたため乗客が負傷した事案につき, 乗客の過失を10%認めた裁判例,運転者の酒気帯び運転を認識しつつ乗車し,かつ,シートベルトを着用していなかった乗客について,乗客の過失を20%認めた裁判例

以上のように裁判所では,被害者側のシートベルト不装着について5%から20%の過失相殺が行われています。

5 ご相談は当法人の弁護士まで

シートベルト不装着により過失相殺を主張されている場合は,シートベルト不装着が損害の拡大に寄与したかが問題となります。

そのため個別事情の主張立証によって,シートベルト不装着を理由に過失相殺がなされるか否かで結果が大きく異なることがあります。

弁護士法人心 名古屋法律事務所では,交通事故の交渉に詳しい弁護士が多数在籍しております。

交通事故に突然遭ってしまいご不安に思われていることがありましたら,名古屋駅から徒歩2分の距離に事務所がありますので,お気軽にご相談ください。

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