相続放棄をしてしまうと、死亡退職金は受け取れませんか?
1 死亡退職金の「受取人」によって変わる
相続放棄をすると、はじめから相続人ではなかったものとみなされますので、相続財産を受け取ることができなくなります。
ただ、亡くなった方に権利が無いものは、そもそも相続財産ではありませんから、相続放棄をしても関係ありません。
死亡退職金は、「受取人」が誰と定められているかによって、権利の所在が変わり、相続放棄をしても受け取ることができるか、できないかが変わります。
2 死亡退職金の受取人は誰?
⑴ 公務員の場合
ア 国家公務員の場合は、国家公務員退職手当法に定めがあり、配偶者や事実上婚姻関係と同様の事情にあった者、子や父母、兄弟姉妹や孫など、対象者や順番が定められています。
また、例外的に支給対象とならない者も定められています。
イ 地方公務員の場合は、国家公務員退職手当法に準拠や類似する条例が定められている場合、その規定に従うことになります。
⑵ 会社員の場合
就業規則や退職金支給規則などが定められている場合は、その規定にしたがって受取人が決まることになります。
3 受取人が亡くなった方ではない場合
受取人が、配偶者や子など、亡くなった方ではなく相続人の場合は、そもそも死亡退職金は相続人の権利ですので、相続財産にはなりません。
そのため、相続放棄をしても、相続人が死亡退職金を受け取ることができます。
この際、相続人が受け取った死亡退職金は、「支給される金額がなくなった方の死亡後3年以内に確定したもの」または「生前に退職していて、支給される金額が亡くなった方の死亡後3年以内に確定したもの」である場合は、相続税の対象にもなることに注意が必要です。
4 受取人が亡くなった方の場合
この場合、死亡退職金は亡くなった方の権利になりますので、相続財産に含まれます。
そのため、相続放棄をすると、死亡退職金も放棄したことになりますので、相続人が死亡退職金を受け取ることはできなくなります。
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