遺言はどのように保管しておくのがよいですか?
1 遺言の保管に関して検討するべきリスク
⑴ 改竄・変造されるおそれ
自筆証書遺言を1通しか作成せず、他人が見つけやすい場所に保管していると、勝手に封を開けられて遺言書の内容を改竄・変造されてしまうおそれがあります。
⑵ 遺言書を見られて揉めるおそれ
遺言者の作成した遺言内容が、遺言者の生前に見つかってしまうと、相続人間や遺言者との間で揉めるおそれがあります。
⑶ 遺言書が見つからない・紛失するおそれ
上記のリスクを気にしすぎるあまり、遺言者しかわからないような場所に保管してしまうと、相続開始後、遺言書を見つけてもらえなかったり、紛失してしまうなどして遺言者の意思に沿った遺産の分配が実現されない可能性があります。
2 適切な保管方法
上記のリスクを回避するためには、第三者(親戚、銀行の貸金庫、弁護士等の専門家など)のもとに保管することが考えられます。
また、新たに法務局における自筆証書遺言書保管制度が開始し、法務局でも保管してもらえるようになりました(参考リンク:法務省・法務局における自筆証書遺言書保管制度)。
まず、親戚に預ける場合、その親戚を親族間の紛争に巻き込んでしまうおそれがあります。
また、遺言保管の事情を知っている親戚に方が先に亡くなってしまう等して、遺言が適切に執行されないという恐れもあります。
次に、銀行の貸金庫に預けた場合、銀行は相続開始後に貸金庫の開示を求められると、トラブルを防止するため、相続人全員の立会いや相続人全員の同意書の提示を求めることが多く、速やかな遺言執行ができない可能性があります。
そこで、あらかじめ弁護士等の専門家を遺言執行者に指定したうえで、遺言執行者に預けておくことをお勧めします。
その際、組織がしっかりとしている法律事務所に保管を依頼すること方が安心できるかと思います。
遺言が実際に執行されるのは何十年も先ということがよくありますが、それまでに、弁護士が死亡していたり、事務所が無くなっていたりすると、適切に執行されない恐れがあるためです。
弁護士法人心では、遺言に関するお悩みにも対応させていただいております。
名古屋駅の近くに事務所がありますので、名古屋近郊にお住いの方で、遺言に関してお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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