遺言書は書き直しをすることはできますか?
1 遺言書が複数あっても大丈夫?
遺言書は何度でも書き直すことができます。
遺言が複数ある場合,新しい日付のものが優先されますので,最新のものが有効な遺言となります。
ただし,遺言をするためには,遺言の内容を理解し,判断できるだけの能力が必要なので,どんな場合でも書き直せるわけではありません。
よくあるのが,親が元気な頃に書いた遺言書を親に書き直して欲しいけれども,現在親は認知症になってしまっているという相談です。
認知症の程度が酷く,ご本人に遺言をするだけの能力がなければ,新たに遺言書を作成することはできません。
2 遺言書を書き直すにあたって
公証役場で作成する遺言公正証書の場合,内容を変えたい古い遺言公正証書を公証役場に持って行けば,公証人が新しい遺言公正証書に「古い遺言公正証書による遺言は撤回し,新しく遺言する」と記載してくれるので,書き直したことがよく分かります。
自分で全てを手書きする自筆証書遺言の場合であれば,新しく書きなおすにあたって手元に保管していた古い遺言書は,特別の事情が無い限り,破棄してしまうのが無難です。
3 遺言書が複数あると・・・
遺言書が複数存在する場合,必ずしも最新の遺言書が初めに発見されるとは限りません。
後から日付の新しい遺言書が発見されると相続人間のトラブルになりかねません。
特に注意が必要なのは,遺言公正証書の後に自筆証書遺言を作成する場合には,注意が必要です。
遺言公正証書は,公証役場で原本を保管しているので,ご家族など誰かが遺言書のことを覚えていれば,すぐに謄本(原本の写し)を取り寄せることができます。
しかし,自筆証書遺言は遺言者本人や同居の家族が保管していることが多く,どこに保管しているか分からず,死後すぐに発見されないこともあります。
相続人達が遺言公正証書にもとづき相続手続きを終了させた後,遺言者本人の家を片付けていたら,遺言公正証書より新しい日付の自筆証書遺言を発見し,新しい自筆証書遺言によると,古い遺言公正証書よりもたくさんの財産をもらう相続人がいる・・・なんて事態は,せっかくうまく収まった相続人間の相続問題を再燃させかねません。
ご高齢になると心配症になり,あれこれ考えて何度も遺言書を書き直す方もいらっしゃいますが,あまりに多くの遺言書が残っていると,相続人達が振り回されてしまいますので注意が必要です。
4 遺言書作成の前に,弁護士に相談へ
遺言書を何度も書き直さなくてもよいように,内容をよく検討してから書くことも大切です。
何度も書き直さなければならない場合,遺産の内容や相続人の関係が複雑であることが多いので,そのような場合には一度弁護士にご相談ください。
弁護士法人心は,名古屋駅に近くまた名古屋駅前公証役場からも近い場所にありますので,遺言書作成のご相談をされたい方に便利です。
ぜひ一度ご相談ください。
遺言を書くときに注意すべきことはありますか? 遺言はどのように保管しておくのがよいですか?