弁護士と行政書士の違い
弁護士は,原則として,あらゆる法律事務の代理等をすることができる一方,行政書士の場合には,法律の解釈に争いがありますが,関与できる部分は相当限られているようで,少なくとも紛争性がある案件(当事者間で何らかの争いのある案件)については関与することができません。
具体的な違いは以下のとおりです。
1 交通事故との関係での権限の違い
弁護士は,後遺障害申請,示談交渉,裁判等のすべての手続きに代理人等の形で関与できる。
一方,行政書士は,法律の解釈に争いがあるものの,後遺障害申請について紛争性のない部分についての書面作成のみができ,後遺障害の結果に対する異議申立て,示談交渉,裁判等には関与できないと考えられます。
2 遺産分割との関係での権限の違い
弁護士は,遺産の分け方などの個別具体的なものを含めてすべての相談に乗ることができ,相手方との交渉や裁判手続きの代理などあらゆる法律事務を取扱うことができます。
一方,行政書士は,法律の解釈に争いがあるものの,遺産の分け方などの個別具体的な相談には乗ることができず,また,相手方との交渉も一切できず,そもそも,もめている案件には関与さえすることができず,できるのは,もめていない案件で,相続全般の法律の説明と,口頭でまとまった協議内容を書面の形にすることだけと考えられます。
3 遺言書との関係での権限の違い
弁護士は,遺言書の内容の相談,原案の作成等のあらゆる相談や遺言作成のサポートをすることができます。
一方,行政書士は,法律の解釈に争いがあるものの,遺言書の書き方などの形式面の相談や本人が決めた内容をただ原稿にするだけの行為はできますが,遺言書の内容をどのようにすれば良いかについての相談は法律相談となりますので,できないと考えられます。
4 契約書作成での権限の違い
弁護士は,契約書の内容のアドバイス,契約書の原稿の作成,相手方への提示,相手方との交渉,正式な契約書の作成等のすべての手続きに関与できます。
一方,行政書士は,法律の解釈に争いがあるものの,契約書の内容のアドバイス,相手方への提示,相手方との交渉等はできず,できるのは,本人が決めた内容に従って契約書の原稿を作成することや,最終的に本人と相手方との間で決まった内容に従って契約書を作成することになどに限られると考えられます。
行政書士に依頼する際には,以上の違いの説明などをしっかり受けてから依頼するということが大切です。
⇒この点につきましては,札幌弁護士会の非弁護士取締委員会が書いたサイトにも詳しく書かれていますので,ご参照ください(クリック)。