過払い金返還請求権の時効が中断しているケース
1 消滅時効について
過払い金返還請求の場合には,最終取引日から10年で権利が消滅時効にかかります。
厳密には,消滅時効の主張(「援用」といいます)を相手方がすれば,という限定はつきますが,基本的には時効援用してきますので最終取引日から10年で過払い金の返還は認められない可能性が極めて高くなります。
過払い金に関して「お早めにご相談を!」と伝えているのは,この消滅時効の問題があるためです。
2 時効の中断
(1)時効の中断とは
上記のように,消滅時効が完成すると,過払い金の返還を求めることができなくなります。
そのような事態を回避するために,時効の中断をする必要があります。
時効の中断がなされると,時効の完成が中断時からさらに10年延ばすことができますので,最終取引日から10年経過していても過払い金返還請求が認められる,ということになります。
(2)中断方法
時効は,①請求②差押え,仮差押え又は仮処分③承認によって中断します(民法147条)。
請求をする側から積極的に過払い金返還請求権を時効によって消滅させないためには,第1に①請求②差押え,仮差押え又は仮処分とる必要がある,ということになりますが,通常は①請求を選択することになります。
この「請求」は,裁判上の請求と解釈されているため,最終取引日から10年経過する前に裁判を起こせばよい,ということになります。
3 催告
(1)催告とは
裁判上の請求を直ちに行うのではなく,催告をする,という方法もあります。
催告とは,債務の履行を求める意思の通知のことをいい,ここでは,過払い金返還請求を行う旨の通知のことを言います。
法律上,これは直接時効中断の効力はありませんが,時効の成立に6か月の猶予を得ることができます。
即日の裁判準備は難しいが,近々時効が成立してしまう可能性がある,という場合には,まず催告を行い,その後に裁判(訴訟提起)をすることもあります。
(2)催告する際の注意点
催告は,上記のとおり,通知のことを言いますので,相手方に意思・通知が届かなければいけません。
そのため,催告日は,催告書などが相手方に到達した日とされています。
また,催告した事実を過払い金を請求する側が立証しなければなりませんので,配達証明つきの内容証明郵便で行うことが一般的です。
もしくは,郵便する時間もない場合には,FAXでも構いませんが,通信管理レポートなどで送信した記録をとっておく必要があります。
(3)催告だけでは足りないので注意を!
催告は,いわば仮の効力しか生じていませんので,時効を中断させるためには,催告後半年以内に裁判等を行う必要があります。
4 過払い金請求のご相談にあたって
弁護士法人心は,名古屋に本部のある法律事務所です。
また,過払い金返還請求を含めた債務整理案件を集中的に扱っている弁護士が過払い金返還請求のご依頼について対応させていただきます。
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