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逮捕された場合は『当番弁護士』に無料で相談できる

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2022年2月21日

1 当番弁護士制度とは

当番弁護士制度とは、弁護士が1回無料で逮捕された人に面会に行く制度です(参照:日本弁護士連合会・逮捕されたとき)。

成人・未成年にかかわらず利用することができます。

ご家族でも本人でも当番弁護士を無料で頼むことができます

ご家族が頼まれる場合は、逮捕された場所の最寄りの弁護士会にご連絡ください。

本人が頼む場合は、警察官・検察官・裁判官に、「当番弁護士を呼んでください。」と伝えれば、その地域の弁護士会の当番弁護士と会って相談することができます。

2 当番弁護士の役割

⑴ 逮捕直後の当番弁護士の役割

警察に逮捕され、身柄を拘束されると、警察署の留置所で最大72時間身柄を拘束されます。

通常、初めて警察に逮捕されると、突然、自分の味方が一切いない場所に隔離され、ご自身の状況やこれからのどうなってしまうのかも全くわからないため、不安でいっぱいな気持ちになることがほとんどです。

その間、警察署にもよりますが、ご家族やご親族の面会が認められない場合も少なくありません。

しかし、弁護士であれば面会し、身柄を拘束されているご家族の様子をいち早く知ることができますし、本人に対して、認められている権利やこれからの流れなどを説明して不安を取り除くことができます。

⑵ 勾留期間中の当番弁護士の役割

逮捕されると、48時間以内に検察官のもとへ連れて行かれ、検察官が身柄拘束の必要性があると判断すれば、検察官は裁判官に対して、引き続き身柄拘束をするよう請求します。

裁判官がこの請求に理由があり、必要と認めると、最大で20日間身体拘束されることになります。

この間、ご家族や友人が面会することもできますが、通常は一日に1人に面会を限定している警察署が多いので、先に誰かが面会していると自由に面会することはできません。

また、ご家族や友人が面会する場合は、警察官が立ち会うなど接見の秘密が保たれないことも多いようです。

しかし、弁護士であれば自由に面会することができますし、警察官等の立会いもありませんので、本人の様子を確認したり、取り調べに関する適切なアドバイスをすることができます。

3 当番弁護士を利用できないケース

 

当番弁護士は、捜査機関から身柄を拘束された方が早期に弁護士に相談してアドバイス等を受けるための制度ですので、逮捕・勾留されていることが前提になります。

そのため、逮捕・勾留されていないケースでは、当番弁護士を利用することができません

4 当番弁護士を利用する際の注意点

 

当番弁護士は、弁護士会から当番の弁護士を派遣してもらうものですので、自由に弁護士を選べるわけではありません

弁護士は扱う案件分野が様々で、当番の弁護士が普段から刑事事件を取り扱っているとは限りません。

また、当番弁護士は、一度だけ接見してくれるものですので、継続的に相談したり、弁護活動をしてもらうためには、別途、弁護人を選任する必要があります。

5 当番弁護士と国選・私選弁護人との違い

 

当番弁護士は一度だけの相談で、その後の弁護活動をしてもらうことはできませんが、国選・私選弁護人を選任すれば、継続的なアドバイスを受けたり、有利な証拠を収集や被害者との示談などといった弁護活動を行ってもらうことができます

なお、国選弁護人は、経済的事情等で自分で弁護士を依頼できない場合に条件を満たせば国に弁護士の選任を依頼できる制度ですが、どの弁護士を選任することかを自分で決めることができません。

刑事事件に詳しそうな弁護士を自分で選びたいという場合には、私選弁護人を選任することになります。

6 早い段階から弁護士に相談しましょう

以上のように、当番弁護士制度は、逮捕された方の権利を守り、ご家族や本人の不安を解消するために有効な制度ではありますが、それだけでは十分な弁護活動を行うことは難しいといえます。

必要に応じて、早い段階から弁護人を選任し、しっかりと弁護活動をしてもらうことが重要です。

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