交通事故における慰謝料と通院日数との関係
1 交通事故の慰謝料は通院日数と関係するの?
交通事故の慰謝料とは、一定期間通院を強いられたことに関する慰謝料である、通院慰謝料のことを指すことが多いです。
そして、通院慰謝料は通院日数と関係します。
もっとも、通院慰謝料の算定基準は大きく分けて3つあり、通院日数がダイレクトに反映されるもの、通院日数が影響はするがダイレクトに反映されるわけではないものがあります。
通院慰謝料を計算する際の算定基準とは、大きく分けて自賠責保険の基準と、任意保険基準、そして裁判基準の3つです。
2 自賠責保険の基準
通院慰謝料について、よく「通院1日につき○○円」と言われます。
これは、自賠責保険の計算基準が念頭に置かれていることが多いです。
自賠責保険の算定基準は次のとおりです。
①1日4300円×通院実日数×2
または
②1日4300円×通院期間
①と②を比較して、金額が少ない方を採用します。
例えば、通院期間4か月(120日)で、この内の通院実日数が50日の場合、120日と50日×2=100日となり後者のほうが少ないので、①の計算式によります。
したがって、4300円×50日×2=43万円が慰謝料ということになります。
このように、自賠責基準は通院日数がダイレクトに反映されることが多い算定基準といえます。
しかしながら、自賠責保険には上限額があり、治療費や休業損害等も含め120万円までしか支払われません。
したがって、治療費や休業損害等が多くかかってしまった場合には、自賠責保険からはわずかな慰謝料しか出ないこともあります。
3 任意保険基準
任意保険基準は、自賠責基準よりも高い場合が多いですが、個々の保険会社によって基準が異なりますし、自賠責基準とあまり変わらないこともあります。
ただ、任意保険基準は自賠責保険のように通院1日につきいくら、と定められているわけではなく、次に述べる裁判基準と同様に、通院何か月につきいくら、という定め方であることが多いです。
もっとも、この算定基準も最低限の通院日数を満たすことを前提に作成されておりますので、通院日数も影響します。
4 裁判基準
裁判になった場合に用いられる基準で、公益財団日弁連交通事故相談センター東京支部発行の書籍『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』、いわゆる「赤い本」や、財団法人日弁連交通事故相談センター発行の書籍『交通事故損害賠償算定基準』、いわゆる「青い本」に掲載された基準を用います。
ここでは、赤い本を念頭に説明いたします。
赤い本に記載された慰謝料の算定基準には、別表Ⅰと別表Ⅱがあり、「むち打ちで他覚所見がない場合等」は別表Ⅱによるとされており、別表Ⅰはそれ以外の比較的重症の場合に用いられます。
赤い本別表Ⅰによれば、通院1か月で28万円、2か月で52万円、3か月で73万円、4か月で90万円、5か月で105万円、6か月116万円・・・と定められています。
赤い本別表Ⅱによれば、通院1か月で19万円、2か月で36万円、3か月で53万円、4か月で67万円、5か月で79万円、6か月89万円・・・と定められています。
なお、この基準は、自賠責基準のように通院1日いくら、という定め方ではありませんが、週2日程度の通院をコンスタントに継続している場合が念頭に置かれています。
よって通院日数が少ないと、上記の金額よりも少なくなる場合があります。
この意味で、通院日数が影響すると言えます。
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