障害年金の計算方法
1 障害基礎年金の計算方法
障害年金基礎年金の金額は、年度ごとに変わります。
障害基礎年金の2級の計算式は、78万0900円×改定率です。
この金額は、国民年金保険料を480か月納付した満額の老齢基礎年金と同額です。
改定率とは、物価や賃金等の変動を反映して毎年定められるもので、この改定率の変動により、年金額は毎年少しずつ変わっています。
障害基礎年金1級の支給額は、2級の支給額の1.25倍となります。
障害基礎年金の受給権者に18歳になって最初に迎える3月31日以前、または障害等級の1級または2級に該当する障害の状態にある20歳未満の子がある時は、2人目までは1人につき22万4700円に改定率を乗じた額が加算され、3人以降については1人につき7万4900円に改定率を乗じた額が加算されます。
2 障害厚生年金の計算方法
障害厚生年金の受給額は、障害認定日以前の厚生年金被保険者期間の報酬額、つまり給与額によって変動します。
そのため、障害基礎年金のように一律には定まっておらず、人によって異なります。
障害厚生年金2級の金額の計算式は、(平成15年3月以前の平均標準報酬月額×0.007125×平成15年3月以前の被保険者期間の月数)+(平成15年4月以降の平均標準報酬額×0.005481×平成15年4月以前の被保険者期間の月数)となります。
概ね、「平均標準報酬月額」は厚生年金の被保険者期間に支払われた毎月の給与額を平均した額、「平均標準報酬額」は厚生年金の被保険者期間に支払われた賞与を含む給与額を平均した額となります。
平成15年3月以前は賞与から保険料が徴収されていませんでしたが、平成15年4月以降は賞与からも保険料が徴収されるようになったため、上記のような計算式となっています。
ただし、平均標準報酬月額と平均標準報酬額を算出するにあたっては、物価の変動が加味されています。
また、被保険者期間が300か月に満たない場合は、300か月とみなして計算する仕組みもあります。
1級の場合は、2級の金額の1.25倍です。
1級と2級の場合は、障害厚生年金を受給する人によって生計を維持されている配偶者がいる場合は、22万4700円に改定率を乗じた額が加算されます。
3級の金額は、2級の金額と同じですが、配偶者の加算がなく、その代わりに一定の最低保障額が設けられています。
障害厚生年金の金額
1 障害厚生年金の計算方法
障害厚生年金は、等級に応じて、以下のとおり支給がなされます(いずれも令和3年4月時点のものです。)。
⑴ 障害等級が1級の場合
報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額(22万4700円)
⑵ 障害等級が2級の場合
報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額(22万4700円)
⑶ 障害等級が3級の場合
報酬比例の年金額(最低保障額58万5700円)
2 報酬比例の年金額とは?
上記のとおり、障害厚生年金の額は報酬比例の年金額によって金額が変わることになります。
この報酬比例の年金額は以下の計算方法で求められます。
(平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 平成15年3月までの被保険者期間の月数)+(平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 平成15年3月までの被保険者期間の月数)
ただし、この計算方法で求められる金額よりも、下記の計算方法で求められる金額の方が高い場合は、その金額が報酬比例の年金額となります。
{(平均標準報酬月額 × 7.5/1000 × 平成15年3月までの被保険者期間の月数)+(平均標準報酬額 × 5.769/1000 × 平成15年3月までの被保険者期間の月数)}×1.001(ただし、昭和13年4月2日以降に生まれた方は0.999)
※被保険者期間の月数が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算されます。
3 平均標準報酬月額・平均標準報酬額とは?
以上のとおり、障害年金の計算においては、平均標準報酬月額や平均標準報酬額という用語が出てきます。
「平均標準報酬月額」とは、平成15年3月までの各月の標準報酬月額の総額を、平成15年3月までの被保険者期間の月数で割って算出された金額のことを言い、「平均標準報酬額」とは、平成15年4月以後の各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、平成15年4月以後の被保険者期間の月数で割って得た額のことを言います。
そして、標準報酬月額とは、社会保険料や保険給付額の計算をしやすくするために、報酬月額の区分(等級)ごとに設定されている金額のことを言います(例えば、令和3年3月分以降の愛知県における標準報酬月額はこちらのとおりです。)。
また、標準賞与額とは、税引前の賞与総額から千円未満を切り捨てた金額のことを言います。