不動産の相続手続について
1 不動産の相続手続きとは
そもそも、不動産には誰が所有かの名義が法務局に登録されています。
不動産の所有者が亡くなった場合、法務局で登記されている所有者名義を相続人に変更する必要があります。
この名義変更に関し、以前までは、期限はなく、亡くなった方名義のままにしていた方も多くいました。
しかし、法改正がなされ、令和6年4月1日から、名義変更が義務化されるようになりました。
万一、名義変更を行わなかった場合、最大10万円の過料というペナルティーを負うことになるため、注意が必要です。
また、名義を亡くなった方名義のままにしてしまうと、その不動産を売却する際に、相続人全員の署名、押印が必要になり、もともとの相続人がすでに亡くなっている場合は、その次の相続人の署名、押印が必要になり、手続きが複雑になります。
実際、曽祖父のままの名義があり、名義変更をするのに、20人以上の相続人の同意を取り付けなくてはならなくなったケースもあります、
このように、名義変更をしないまま放置してしまうと、いろいろなペナルティーが発生するため、速やかに手続きを行う必要があります。
2 不動産の相続手続きの流れ
不動産の名義変更を行う場合は、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本や相続人の戸籍謄本、遺産を取得される相続人の住民票、遺産分割協議書等を法務局に提出します。
必要となる書類は、亡くなった方と相続人の関係や、遺言書の有無、遺産の分け方によっても異なりますので、事前に確認しておく必要があります。
なお、書類を提出する法務局は、その不動産を管轄する法務局ですので、名古屋にある不動産であれば、名古屋地方法務局(本局)や熱田出張所、名東出張所のどちらかに提出します。
3 不動産の相続手続きにかかる費用
不動産の相続手続きにかかる費用としては、すべてご自身で行った場合だと、相続した不動産の価格が3000万円の場合、13万円から14万円程度かかります。
内訳としては、名義変更をする際に、登録免許税という税金を支払う必要があるため、その費用が12万円です(不動産の価額×0.4%の税金となります。)。
また、戸籍謄本等を取得する際にかかる費用や法務局に提出する際に必要な切手代等の実費が、1万円から2万円かかります。
なお、不動産の相続手続きを弁護士に依頼した場合は、これらの費用に加えて、15万円前後の費用がかかる場合が多いです。
もっとも、複雑な内容や相続人が複数いる場合は、費用が異なる場合がありますので、一度、弁護士にご相談ください。
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