遺言書の探し方
1 遺言書がある場合とない場合の違い
人が亡くなると、その遺産を相続人で分け合うことになりますが、遺産の分け方に関する話し合いがまとまらない場合は、最終的に裁判所で決着をつけるということになってしまうケースも考えられます。
他方、遺言書がある場合は、原則として遺言書のとおりに遺産が分けられるため、遺産を巡る家族間の争いが起きる可能性を減らすことができます。
例えば、Aさんが自宅と預金1000万円を残して亡くなり、長男Bと次男Cが遺産を分け合うことになった場合で、遺言書の有無でどのように変わるのかを考えてみます。
⑴ 遺言書がある場合
遺言書は亡くなった方の最後の財産処分のメッセージです。
Aさんは、自分の死後、財産をどのように扱ってほしいかということを決めることができます。
そのメッセージが遺言書ということになるため、原則として遺言書の内容に従ってAさんの遺産は分けられることになります。
仮にAさんが「自宅は長男Bさんに、預金1000万円は次男Cさんに相続させる」という遺言書を残した場合は、この通りに遺産は分けられるのが原則です。
⑵ 遺言書がない場合
遺言書がない場合は、長男Bさんと次男Cさんが遺産の分け方について話し合いをすることになります。
この話し合いが決裂すると、調停や審判という手続きに進み、裁判所で決着をつけることになります。
このように、遺言書がない場合は家族が裁判所で争うといったことが起こる可能性が高まるため、遺言書を見つけることで、このような争いを防ぐことができるかもしれません。
2 自筆証書遺言の探し方
⑴ 遺言書探しは、まず家の中から
亡くなった方が遺言書を自分で書いた場合は、その遺言書は家のどこかにあることが多いです。
そのため、亡くなった方の家の中を隅々まで調べる必要があります。
例えば、書斎の引き出し、印鑑や通帳を入れていた場所、仏壇、金庫などを探すと遺言書が見つかるかもしれません。
⑵ 家の中に遺言書がない場合
家の中に遺言書がなかったとしても、誰かに預けている可能性があります。
例えば、弁護士に遺言書の保管を依頼していたり、銀行の貸金庫に預けていたりするかもしれません。
そのため、亡くなった方の家の中に法律事務所の封筒や、銀行からのお知らせなどがないかをお調べください。
もしそれらの資料が見つかれば、遺言書を探す手掛かりになります。
また、法務局に自筆証書遺言を保管できる制度もありますので、そちらに保管されているかどうかを確認することもご検討ください。
参考リンク:法務省・自筆証書遺言保管制度・証明書について
⑶ 他の相続人が遺言書を持っている場合は?
他の相続人が遺言書を持っているのに、内容を教えてくれない場合はどうすればよいでしょうか。
自筆証書遺言は裁判所で検認という手続きを踏まないと、その内容を実現することは困難です。
そのため、遺言書を持っている相続人が裁判所で検認手続きをした場合は、その通知が相続人に送付されます。
また、何らかの事情で通知が送付されない場合であっても、事後的に裁判所から遺言書の写しをもらうことができます。
このような裁判所での手続きをする場合は、弁護士に手続きの流れを説明してもらったり、手続きを代行してもらったりするという方法もあります。
参考リンク:裁判所・遺言書の検認
3 公正証書遺言の探し方
遺言書を公正証書で作成している場合は、公証役場に保管されています。
そのため、公証役場に問い合わせることで、亡くなった方の遺言書の有無を調査することができます。
名古屋では、名古屋駅前公証役場や葵町公証役場などがあります(参考リンク:名古屋市の公証役場)。
公証役場で遺言書の有無を調査したり、内容を確認したりする場合は、必要な書類をそろえ、手続きのため平日に公証役場に行かなければなりません。
それが難しいという方は、弁護士に手続きを依頼することも選択肢の一つです。
4 遺言書があれば家族間の争いを減らせる可能性もあります
遺言書は亡くなった方の最後のメッセージです。
相続人となった方は、亡くなった方の最後の希望を叶えられるように、遺言書を探してみてはいかがでしょうか。
というものの、遺言書の探し方が分からない場合や遺言書を見つけた後の手続きが分からない場合、遺言書の内容に異論があるという場合など、様々な悩みが伴うこともあります。
そういった悩みを解決する方法として、弁護士に相談するという選択肢もあるかと思います。
当法人では、遺言書などの相続案件を多く扱う弁護士が相続チームを組み、皆様のお悩みの解決にあたっています。
名古屋駅の太閤通南口から徒歩2分というアクセスしやすい場所に事務所を設けておりますので、名古屋で遺言書についてお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。
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